2018年12月26日水曜日

台湾嘉儀市国立中正大学訪問

先日、ご縁があって台湾嘉儀市にある国立中正大学にご招待いただき若い学生さん達と交流してきました。台湾のテレビ番組などで有名で「台湾の林修先生」と呼ばれる教育者であり起業家でもある王宇先生がすべてアレンジしてくださいました。中正大学の郝鳳鳴副校長先生と崔曉倩先生、沖縄を拠点にアジアで教育事業を展開している加納さんにも大変お世話になりました。

嘉儀市は台中と台南の中間位に位置する歴史ある地方都市です。台北の松山空港から入国しましたが、台北から台湾新幹線で1時間半程度のところですから距離的には東京からだと名古屋位の感覚です。中正大学は蒋介石にちなんで1989年に創立された総合大学で、広々としたキャンパスで伸び伸びと大学生活を楽しむ学生たちの姿は米国の大学のようでした。

昔ソニーでパソコンビジネスをやっていた頃には頻繁に訪れていた台湾ですが、経済学者のラム・チャランによるとこれからは北緯31度よりも南の地域の時代です。今や日本のシャープも台湾のホンハイ傘下の企業になりました。パソコンや半導体などで技術・産業立国に成功した台湾のエネルギーには凄いものがあります。人口は2300万人ですから日本の5~6分の1程度ですが、技術革新やグローバルなビジネスセンスの面では見習うべき点が多くあります。親日でも知られる台湾とはこれからもいい関係を維持していきたいものです。

さて、アレックス通信も今年はこちらが最終号となります。今年も皆様には大変にお世話になりました。社員一同心から感謝申し上げます。どうか良い新年をお迎えください。

 

2018年11月21日水曜日

GAFAの脅威

GAFAが今年の流行語大賞にノミネートされました。いうまでもなく、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字を並べた造語です。

スコット・ギャロウェイ著「the four GAFA 四騎士が創り変えた世界」(東洋経済新報社)も売れているようです。著者は 「世界最高のビジネススクール教授50人」に選ばれたことのある連続起業家で、ブランド戦略やデジタルマーケティングの専門家でもあります。私も読みましたが、著者の偏見や好き嫌い、若干の私的な恨み節も含めて、GAFAそれぞれの「表の顔」と「裏の顔」をうまく描き分けていると思いました。

GAFAは、資金力、技術力、人材力といった面で他の追随を許さないグローバルプラットフォーマーとして、「データ資本主義」時代を象徴する圧倒的な存在です。半ば社会インフラ化した存在で、我々の日常生活はGAFAに大きく依存するようになりました。今やグーグル検索やアマゾンのサービス無しの生活は考えられません。

GAFAのサービスやプロダクツは実に便利ですが、一方で、利用者は使うたびに自分自身の好みや行動履歴などさまざまな情報を彼らに無償提供しています。その結果、本人が意識しているしていないは別として、多かれ少なかれ自分の思考や行動を彼らにコントロールされています。

中国でもアリババなどが集めたデータは中国政府によって国民をランキングしたり監視するデータとして使われています。 米国の国家安全保障局(NSA)や中央情報局(CIA)で働いていたエドワード・スノーデンも権力による監視社会の実態を暴露しています。

利便性はプライバシーとのトレードオフですから、我々が現在手にしているさまざまな利便性の裏には常にプライバシーの問題があることだけは忘れてはならないと思います。

2018年10月17日水曜日

国宝犬山城

先日、仕事で名古屋を訪ねた際に、少し足を延ばして犬山城に行ってみました。室町時代の天文6年(1537)に築城され、現存するのは明治24年(1891)の濃尾大地震で半壊の後に修復された天守のみですが、日本最古の様式だそうで国宝に指定されています。悠々と水をたたえる木曽川沿い、当時の交易、政治、経済の要衝に建てられ、 戦国時代には信長、秀吉、家康がこの城を奪い合いました。歴史の荒波を生き残った天守最上階からの眺めはまさに絶景で、周辺には城下町の古い町並みや、多くの観光施設があります。悠久の歴史に思いを馳せながら、しばしの気分転換となりました。

2018年9月12日水曜日

沖縄の未来は日本の未来

(講談社現代ビジネスの連載から転載)

沖縄こそが日本の未来の牽引役

今月は自民党の総裁選と沖縄の県知事選がある。かねてから、私は日本の総理大臣にはぜひ沖縄出身者になって欲しいと強く思っている。

理由は二つある。

まずその一つは、沖縄こそが広島や長崎と並んで日本の中で最も平和の価値を骨身に染みて理解している土地だと思うからだ。

以前、「ひめゆり平和祈念資料館」や「旧海軍司令部豪」を初めて訪ねたときの衝撃は今でも忘れられない。沖縄の過酷な運命に心を寄せることは平和な日本を築く上での第一歩だと思った。

そしてもう一つは、地球規模で考えると、これからは南の地域が加速度的に大きく発展していくことになるが、日本最南端に位置する沖縄こそが、アジア太平洋地域の活力を引き込んで日本の未来を築く牽引役だと考えるからだ。

ハーバード・ビジネス・スクール元教授、経営コンサルタントのラム・チャランは著書『GLOBAL TILT(邦訳:これからの経営は「南」から学べ)』(日本経済新聞出版社)の中で、「ビジネスと経済のパワーが、北側の国々から、北緯31度線より南側の地域へシフトしている」と言っているが、日本では沖縄県だけが全域その地域に当てはまる。

もともと沖縄は、琉球王国としての独立性を保ちつつ、明や清の時代の中国や、日本といった周辺の強国と巧みな平和外交を行いながら交易の拠点として栄えた。

しかしその後、薩摩による琉球侵攻や明治政府による琉球処分によって日本による統治の時代を迎え、日清戦争を経て日本がその領有権を確定させた。

太平洋戦争中は旧日本軍の軍事拠点としてアジアへの前線基地的な役割を果たしたことで連合軍の標的とされ、「鉄の暴風」と呼ばれ地形が変わるほどの激しい空襲や艦砲射撃を受け悲惨な地上戦の舞台となった。

戦後は27年間にわたって米国の統治下に置かれ、1972年に本土復帰を果たしたが、米軍基地や日米地位協定の問題は今日に至るまで沖縄住民に大きな負担を強い続けている。

日本に支配され米国にも攻め込まれて戦場となり制圧された沖縄の歴史はまさに波瀾万丈で、その苦悩や屈辱は沖縄の人たちにしかわからない。

特に太平洋戦争では多くの一般市民が犠牲になり、その後も米軍基地を抱え続けてきたがゆえに、今日に至るまで常に戦争を身近に肌身で感じてきた。だからこそ平和の価値を誰よりも皮膚感覚で理解している。

戦争を体験した人、戦争を知らない人


ところで、1957年生まれの私は戦争を知らない。

北山修氏と杉田二郎氏が『戦争を知らない子供たち』をリリースしたのが1970年だったから、ちょうど中学に入った頃だった。

当時の戦争を知らない子供たちも今ではもうみんないい歳だ。安倍晋三総理をはじめ現政権を担っている人たちや、中西宏明経団連会長など経済界の人たちも誰も戦争を知らない。

「歴史は繰り返す」と言うが、それは人間の寿命と関係している。

悪しき歴史も悲惨な過去も、それを実際に体験した人たちがこの世からいなくなることによって、貴重な体験が忘れ去られたり薄まったりしてまた同じようなことを繰り返すからだ。人間とは愚かな存在なのである。

戦後生まれの戦争を知らない世代がマジョリティとなって社会の要職を占めるようになると、「戦争は二度と起こしてはならない」という当たり前のことすらだんだんわからなくなっていく。

現に、2015年に安保法制を強行採決した現政権は、防衛装備移転三原則などで実質的に軍事ビジネスを解禁した。防衛省が民間企業を引き連れて海外の武器展示会などに出展している光景は、まさに戦前の軍産複合体を彷彿させる。

防衛副大臣が得意然として銃を構え「今後この分野を日本の産業として支える。どんどん成長して欲しい」と語る姿がネットなどで流れたことがあるが、実におぞましい思いがした。

ノンフィクション作家の立石泰則氏が『戦争体験と経営者』(岩波新書)という本を出した。

ダイエーの中内功氏やワコールの塚本幸一氏など、生き地獄のような戦場を体験したからこそ、生き延びて復員してからは徹底して平和主義を貫いた戦後の経済人を数名取り上げ、彼らの平和へのこだわりと迫力ある生き様を簡潔に描いている。

中内氏は、憲法改正や防衛力強化の必要性を経済界の会合で主張する関西財界の重鎮で当時権力の絶頂にあった住友金属会長の日向方齊氏に対し、時の権力者に臆して沈黙する周囲をよそに、一人面と向かって「異議あり」と激しく反論したそうだ。

また、ノモンハン事件に従軍し、ラバウルなどの南方戦線にも送られたケーズデンキの創業者加藤馨氏は、2012年に第二次安倍政権が誕生して「憲法改正」を唱えるようになると危機意識を強めた。

すでに95歳を超えていたが、ある日突然課長以上の全社員を本社会議室に集めるように指示し、自分の戦争体験を話して聞かせ、「みなさん、よく聞いておいてください。戦争は二度と起こしてはいけないものです。あってはいけないものなのです」と述べたという。

「沖縄の民意を尊重せずして日本の自立はない」

米軍基地問題で現政府と対立し、8月に亡くなった沖縄の翁長雄志前知事は、その著書『戦う民意』(角川書店)の中で「基地問題を解決しなければ、日本が世界に飛躍できない。沖縄の民意を尊重せずして日本の自立はない。沖縄のためになることは日本のためになり、さらには世界のためになる」と述べている。

さらに、「離島である沖縄は、海で四方が閉ざされているのではなく、海で諸国とつながっているという世界観を持っています。そして、沖縄戦という未曽有の体験を経て、平和に対する絶対的な願いを持ち続けています」とも述べている。

これらの毅然とした翁長氏のメッセージからは、まさに政治家のイデオロギーというよりも沖縄のアイデンティティそのものが伝わってくる。

我々本土に暮らす者たちは、沖縄の苦悩に対してどこか他人事のように距離を置いてはいないだろうか。

基地負担に関して、「振興予算をもらっているんだから文句を言うな」という論調も根強いが、これほど沖縄の人たちの尊厳や誇りを傷つける言い方もないだろう。

現政府の基地問題に対する一連の対応を見ていてもいかにも冷淡だ。翁長氏は、政府や本土の人たちとの意識の擦れ違いの根深さ、どうにも埋まらない溝についての沖縄の人たちの感覚を、「魂の飢餓感」という言葉で表現していた。

日本全体で沖縄が抱えてきた負担や苦悩にあらためて心を寄せ、その負担や苦悩を沖縄だけに押し付けるのではなく、日本全体で分かち合っていく以外に、基地問題の解決も日本の安全保障の前進もない。

日本に暮らす以上、沖縄に無関心であってはならない。

沖縄の実情を自分事として捉える姿勢と行動こそが、まさに翁長氏が言ったように、平和国家としての日本の自覚と自立を揺るぎないものとし、世界における日本の立場と役割を明確にしていくことになるのではないか。

本土に暮らす者が沖縄のことを語るのは簡単ではないしおこがましくもあるが、今回の沖縄県知事選は日本の将来を占う大事な選挙だ。投票権のない沖縄外の人たちにとっても、沖縄への理解を深め日本の将来を見つめ直すきっかけにしたい。

2018年8月8日水曜日

酷暑の夏

今夏の記録的な猛暑は、連日のようにニュースや天気予報で取り上げられていますが、これは日本に限ったことではなく、ヨーロッパやアメリカなどでも大変な暑さになっているようです。

気候変動にはさまざまな要因があるのでしょうが、人口爆発や急激な経済成長に伴う環境汚染、廃熱なども温暖化の一因になっているのは間違いのないところでしょう。この状態が続くとすれば、巷で騒がれているように2020年の東京オリンピックも大変に過酷なものとなるのは間違いありません。それとも、不安定な気候変動が2020年には突然冷夏をもたらすような幸運もあり得るのでしょうか。

地球環境の変動は、猛暑だけでなく、地震や集中豪雨などの自然災害を大規模化する傾向をもたらしてもいます。先日、西日本一帯を襲った大雨は、短時間のうちに広域にわたって大勢の人々の命を奪ったり生活を破壊しました。あらゆる意味において、これからは「想定外はない」「他人事はない」という認識が必要なのだと痛感します。被災するかしないかは、まさに「たまたま」「紙一重」といった違いにすぎないのです。

今日平穏な一日を過ごせたなら、そのことへの深い感謝を忘れないようにしたいものです。

2018年7月10日火曜日

サッカー夢のあと

サッカーのワールドカップで、日本チームが予選リーグを突破して決勝トーナメントには進んだものの、初戦でベルギーに逆転負けで敗れ、今回もベスト8進出への夢は叶いませんでした。 もちろん、西野監督も選手達も持てる力のすべてを出し切って戦った姿は感動的で我々を大いに楽しませてくれたと共に勇気づけてもくれました。西野監督と選手の皆さんには心からお疲れ様でしたと申し上げたいと思います。

一方で、今回の軌跡を振り返って、次回以降のベスト8以上進出を目指すことを考えた時に、日本チームに何が足りなかったのか、ということを冷静に分析してみたいと思います。もちろん、すでに多くの専門家がさまざまな分析をしていますので、体力面や戦術面での分析はそれらにお任せして、ここでは「目標設定」という切り口から考えてみます。

予選リーグでのセネガル戦も、決勝トーナメントでのベルギー戦も、十分に勝てた試合だっただけに、本当に残念で悔しい結果でした。特にベルギー戦では、後半開始早々に原口選手と乾選手の鮮やかなゴールで2対0と2点を先制する願ってもない状況を作り出しました。にもかかわらず、その2点を守り切れなかったのはどうしてでしょうか?

西野監督は試合直後のインタビューで「何が足りないんでしょう?」と述べていましたが、私は「目標設定」の問題なのではないかと思います。直前に監督が急遽交代するなどのドタバタの中でベスト16に入ったのはまさに快挙ですが、日本チームのもともとの目標設定は、「予選リーグを突破してベスト16に入ること」だったと思います。その上で、「あわよくばベスト8へ」というのが日本チームの「悲願」だったということです。それに対して、FIFAランキング3位のベルギーチームの目標設定はあたりまえのように「優勝」でしょう。

ですから、日本チームはベルギー戦で自分たちが2点を先行することはまったく想定していなかったと思います。想定していなかった状況を自ら作り出し、ベスト8が見えた瞬間に、自分たちのいわゆる「コンフォートゾーン」から外れてしまったのです。何故ならベスト16に残ることがもともとの目標だったからです。

一方、ベルギーにとっても、日本に2点も先行されることは想定外だったでしょう。この瞬間にベルギーも自分たちのコンフォートゾーンを外れてしまいました。何故なら、決勝トーナメントを最後まで勝ち抜いて優勝することに目標設定しているからです。

心理学的に、人間はコンフォートゾーンを外れてしまうと、「こんなはずではない」とか「これはできすぎだ」となって不安定になり、無意識のうちに自分の設定したコンフォートゾーンに戻ろうとするエネルギーが働くそうです。それが、日本が2点を先行した直後から調子を崩してしまったのに対して、ベルギーが我に返ったかのごとく底力を発揮して立て続けに3点を奪った一番の理由だと思います。その後、ベルギーはブラジルも撃破してベスト4に進んでいます(7月7日現在)。

ちなみに、日本チームで「優勝」と言っていたのは本田選手だけです。皮肉にもその本田選手は、アディショナルタイム終了ぎりぎりの段階での不用意なコーナーキックによって、絵に描いたような瞬殺のカウンター攻撃のきっかけを相手に与えてしまいました。終了間際のわずか10秒弱のシーンは、両チームの差を示す象徴的なシーンでした。監督も選手もまた国民も、本気で「優勝」に目標設定をしているベルギーに対して、日本は、監督も選手もサッカー協会も国民も、本気で優勝を心から信じていた人など誰もいなかったと思います。夢が潰えた瞬間でした。

日本が次回以降でベスト8以上に進むためには、監督や選手は当然として、サポーター全員が本気で優勝を信じるレベルになることが第一歩だと思います。サッカーのように肉食的な闘争本能を剥き出しにして闘うスポーツに、「控え目」「遠慮」「謙虚」を美徳とする日本人は本来向いていないのかもしれませんが、Jリーグを創設するなどで30年近く掛けてよくここまで強くなったものです。

しかし、現在の壁を突破して本当のサッカー強豪国になるには、やはり「ワールドカップ優勝」に本気で目標を定めない限りは無理です。高いところに目標を設定し、そこに到達するまでは「負け」を許さず一切甘い顔はしない、というくらいにならないと、これ以上上位に進むことは厳しいのではないでしょうか。

「W杯ロシア大会で台頭したスター5選手」に選出された乾。日本は世界に大きなインパクトを残した
「W杯ロシア大会で台頭したスター5選手」に選出された乾選手【Getty Images】

2018年4月18日水曜日

「100歳時代」を生き抜く“人生多毛作プラン”

今どきのシニアはとにかく元気です。平均寿命において男性80.98歳、女性87.14歳(2017年7月、厚生労働省発表)と、香港に次いで世界2位の長寿を誇る我が国では、昨年9月の時点で、100歳を超えるお年寄りの数が6万7000人を上回りました。また、米国南カリフォルニア大学のエリザベス・ゼリンスキー博士の研究では、現在の75歳と16年前の75歳を比べた結果、広範囲の知能テストで、現在の75歳のほうが昔の75歳よりはるかに成績がよいことがわかったそうです。

ここ数年、盛んに「人生100歳時代」といわれるようになりました。一説によると、先進国では平均寿命が毎日数時間ずつ延びているといいます。ロンドン・ビジネススクールの教授リンダ・グラットンとアンドリュー・スコットの共著「ライフシフト-100年時代の人生戦略-」が日本でも25万部を超えるベストセラーとなっていますが、神奈川県の黒岩祐治知事も「百歳時代-“未病”のすすめ-」という本を書いています。

長寿命化は喜ばしいことですが、一方で新たな社会問題も生み出しています。2016年の厚労省調査によると、日本では平均寿命と健康寿命の差が、男性で9年程度、女性で12年程度となっています。すなわち、男女ともに晩年の10年前後は認知症になったり寝たきりになったりする人が多く、この期間に発生する国民医療費や介護の負担が増大を続けています。我が国では、既に人口は減少に転じており、今後世代別人口構成は逆ピラミッド型になっていく流れになっています。すなわち、これまでの社会システムや人生設計が大きな転換点を迎えており、社会的にもまた個人的にも、長寿時代への備えが急務となっています。

年金の支給開始年齢も引き上げられていく中、60歳や70歳を超えても元気で働き続けないと、老後の生活が成り立たない時代が到来しつつあります。60歳前後で引退して退職金と年金で悠々自適の老後を過ごす、というような人生設計はもはや成り立ちません。これからは、人生二毛作、三毛作、多毛作といった就労プランを真剣に考えないと、生涯の収支バランスを取りにくい状況になっていきます。

しかし、これを悲観的に捉える必要はまったくないと思います。人間が長く元気でいるためには、食事、睡眠、運動に留意するだけでなく、働くことを通じて社会参加し続けることが重要な要素となります。まだまだ元気な60代で引退するのは、個人の健康や寿命の観点からも良くないですし、さまざまな知見や経験の豊富なシニア世代が引退せずに社会参加を継続することは、社会全体の生産性を向上し活力を高めるためにも重要なことです。

昨年、81歳でiPhone向けのゲームアプリを開発した若宮正子さんが、米アップル社の開発者向けのイベントWWDC2017に最高齢プログラマーとして招かれ、CEOのティム・クックから称賛されて話題になりました。若宮さんは、還暦を過ぎてからパソコンをはじめ、エクセルで作るグラフィック「エクセルアート」やアプリ開発を独学で学び、自宅でパソコン教室も開いているといいます。若宮さんのように、年齢を言い訳にすることなく、新しいことにチャレンジし、現役で活躍を続けるシニアの人たちの生き方は、まさにこれからの長寿時代を生きる上で社会を明るく照らす格好のロールモデルとなっています。

小泉純一郎元首相は、講演の最後でよく「議会政治の父」と呼ばれた政治家・尾崎行雄(1858~1954年)の話を引用します。尾崎は、亡くなる前年の94歳の時に「人生の本舞台は常に将来に在り」という言葉を残したそうです。年配者だけでなく、多くの人を奮い立たせる言葉ではないでしょうか。

2018年2月7日水曜日

厳冬を乗り切る

年が明けてから、北海道や山形などを訪問する機会がありました。今年の冬は寒さが厳しく、例年よりも気温が低かったり雪が多かったりで、新潟では雪で動かなくなった列車に大勢の乗客が長時間閉じ込められるという出来事もありました。

私も幼少期に新潟の上越という豪雪地帯に住んでいたので、雪国の冬の苦労はよくわかります。厳しい自然環境は我々の生活にさまざまな影響を与えたり生命を脅かしたりする面もありますが、風雪に耐えることが創造力や忍耐力をはぐくむきっかけになることもあります。

厳しい冬が終われば待ち焦がれた春がやってきます。雪国の皆様がこの冬を無事に乗り切られることを切に願っております。

2018年1月5日金曜日

新年のご挨拶

2018年がスタートしました。当社は本日が仕事始めとなります。

旧年中は格別のご高配を賜りまことにありがとうございました。ダイナミックな変化が加速する中、今年もさまざまな新しい動きがあることと思いますが、引き続きALEXCIOUSとCOUNTDOWNで日本の価値を世界に発信し続けて参りますので変わらぬご支援をよろしくお願いいたします。

今年も皆様のもとにたくさんの幸せが訪れることを祈念しております。