2016年5月25日水曜日

前途多難な2020東京オリンピック

東京オリンピックを巡る不透明な金銭授受問題が持ち上がりました。FIFA(国際サッカー連盟)の腐敗が取沙汰されたばかりですが、IOC(国際オリンピック委員会)にも似たような構図があるということですね。

スポーツはさまざまなビッグ・ビジネスを生み出しています。しかし、「金儲け」の側面が行き過ぎると、そもそもスポーツをビジネスとして成り立たせている根幹が揺らぎます。最近も野球賭博や八百長相撲が問題になりましたが、この手の話は古今東西枚挙にいとまがありません。スポーツには本来、公正性が担保されるが故に生み出される「真剣勝負の魅力」がありますが、その裏には利権の構図が存在し、不透明なカネや汚れたカネの流れが発生し易いともいえます。

2020年のオリンピック東京招致獲得には壮大なドラマがありました。ジャック・ロゲIOC会長(当時)が「Tokyo」と発表した瞬間の感動を忘れられない日本人も多いでしょう。しかしその後、国立競技場問題、エンブレム問題と盛り上がりに水を差す事件が相次ぎ、あげくには今回の金銭授受疑惑です。肝心の東京都では舛添知事がやはり金銭問題で醜態を晒し続けていてシャレにもなりません。

招致確定時には、多くの国民が、東日本大震災で傷ついた我が国にとって反転のきっかけにもなる明るい話題として受け止めました。しかし今やアベノミクスの効果にも疑問符が付き、世相も変わりました。この機会に、東京でオリンピックを開催することの意味を我々もあらためて自問自答した方が良さそうです。