2015年9月23日水曜日

安全保障関連法案成立の裏で

安全保障関連法案が参院本会議で可決されました。これにより、我が国の戦後の安全保障に対する立場が大きく転換することになります。多くの憲法学者が違憲と断じる中での今回の法案成立を巡っては、中身の是非に加えて、そのやり方についても立憲主義の否定につながるとして論争となりました。

一方、9月15日から18日まで、英ロンドンで、世界最大級の武器展示会「国際防衛装備品展示会(Defence & Security Equipment International)」が開催されました。40ヶ国以上から約1500の企業などが参加し、最新の軍事関連商品が出展されて活発な商談が展開されましたが、日本からも8社が出展していて、今回は防衛省も初めてブースを構えました。日本政府は昨年、武器輸出三原則に替えて、条件を満たせば、武器の輸出や海外との技術協力を認める「防衛装備移転三原則」を閣議決定しました。これにより、早速、防衛省や関連企業は、防衛装備の輸出ビジネス拡大に向けたアクションを積極展開しているわけです。安保関連法案成立の背後に、こういう経済活動があることを見逃してはなりません。

戦後、平和憲法の下、戦争放棄した我が国は、「軍産複合体」化した戦前の国家体質を反省し、軍事と経済活動を相容れないものとして切り分けてきました。いわゆる「死の商人」ビジネスとは一線を画してきたのです。しかし、一連の安保関連法案成立の裏で、ついにその歯止めも取り払われました。

「財界の鞍馬天狗」の異名を持つ戦後の経済人中山素平は、90年、湾岸戦争で自衛隊の派兵が論議されていた時、派兵に反対し、「平和憲法は絶対に厳守すべきだ。そう自らを規定すれば、おのずから日本の役割がはっきりしてくる」と言い切ったそうです。我が国を、戦争で儲ける国などに決してしない為、今を生き、未来に責任を持つ経済人の良識が問われていると思います。