2014年3月28日金曜日

うめきた未来会議MIQS02

先週末、2日間に渡ってグランフロント大阪で開催されたうめきた未来会議MIQSの2回目にご招待いただきました。昨年の第一回目ではキーノートスピーカーとして登壇したのですが、今回は、初日にコメンテーターとしてご協力しました。

改めて思ったのは、日本には新進気鋭の若者からベテランのトップランナーまで、実にユニークでクリエイティブなチャレンジをしている人達が大勢いる、ということでした。さらにそのような人達が自分の取り組みについて世に広く伝える場というものが本当に重要であると思いました。

どんなに凄いことを考えたり実行していても、それが広く伝わっていかなければやはり「人知れず」ということになってしまって、世の中を変える、というところにまではなかなか行きつかないと思いますが、広く伝わることによって、賛同者や支援者や協力者の輪がどんどん広がって、大きなうねりとなっていくのではないかと思います。

また、皆さん大変に活発でフットワークが抜群によく、創造力というものは行動力によって開花する、ということもあらためて強く思いました。何かに行き詰っても、決してあきらめずに行動しながら解決して行くスタンスが全体的に共通していました。リーンスタートアップ的なアプローチについて話をされていたスピーカーの一人が、「1000回の失敗を恐れない」と語っていたのも印象的でした。

関西版TEDともいえるこのMIQSのようなイベントは大切にしていかねばならないと思います。このような活動をスタートさせた毎日放送、グランフロント大阪、ナレッジキャピタルの皆様には心から敬意を表すると共に、このイベントが継続し発展していくことを願っております。

2014年3月16日日曜日

ネットでの総攻撃狂奏曲

今回の、twitterで始まった騒動では、私は「ネットで勝手に個人情報を晒した極悪人」、ということでほぼ結論が出たようですが、そういう結論が導き出された過程が私の認識とは随分違うようなので、私自身の見解を述べておきたいと思います。なお、これは、日頃お世話になったり、私を信じて期待していただいている方々へのメッセージであり、私を極悪人と断定されているまったく見ず知らずの方々への弁明ではありません。私を極悪人と断定されるのはそれぞれの皆さんの自由なご見解ですから、それはそれで謙虚に受け止めさせていただきたいと思いますし、それに対してどうこう申し上げるつもりはありません。

まず、今回のきっかけは、先日のソニーの業績下方修正やVAIO売却に関して、ある雑誌社から電話取材を受けたことに始まります。そこでの私のコメントがその雑誌の記事で引用され、それを見た相手の方が、「辻野氏なんてウォークマンを潰した張本人だろう」とtwitterでつぶやいたことがきっかけとなっています。その後の私の乱暴な対応は決して褒められたものではありませんが、私にしてみれば、きっかけは、ネット上で公然と私の実名を名指しして一方的な批判を行う、という相手のこの行為にこそあったと思っています。私個人にとっては、信用棄損とも、名誉棄損とも感じる行為でした。喧嘩を売ったのは私の方だ、という指摘も多くいただきましたが、敢えて言えば、売られた喧嘩を買った、というのが正確なところでしょう。何の落ち度もない人に私がいきなり言いがかりをつけたわけではありません。

「公人、有名人なんだから批判はあたりまえ、いちいち取り合うな」というご指摘も多くいただき、それはまったくその通りだと思いますし私の普段の対応でもあります。今回ももっと上手に大人としての対応をすることだっていくらでもできたでしょう。しかし、私の率直な思いは以下です。
  1. 公人だからといって、一方的な個人攻撃にいつも黙って耐えるのが本当に正しい態度だろうか?
  2. 人には黙って看過してはいけないこともある。軽率に言ってはいけない一言というものもある。
  3. ネットでの傍若無人、罵詈雑言、誹謗中傷はもはや当たり前のようになっているが、日頃目に余るものがあり傷ついている人達も多い。このような行為が匿名によって助長されている面は否めない。
ネットニュースなどでは、やり取りの経緯が大幅に端折ってまとめられており、その後、私が怒りにまかせていきなり相手の実名を晒した、という ような伝えられ方になっていますが、少し違います。実際には、まず、「お前どこの誰なんだよ」といった乱暴な言葉で絡んだことについてはお詫びをして、しばらく相手の方と忍耐強く誠意をもってやり取りをさせていただきました。しかし、残念ながら、相手の理解は得られず、執拗な攻撃が止むことはありませんでした。その後、忙しくてtwitterから遠ざかっていましたが、しばらくして戻ってみると、その方からの攻撃はまだ延々と続いていて周囲の人も巻き込んだプチ炎上のようになっていました。このあたりの相手からの数々の辛辣なコメントはすべてその後ご当人によって削除されてしまっています。

私が論争に応じなかった、という指摘もありますが、私としてはきちんと誠意をもってお応えをさせていただきました。twitterで延々と不毛な論争に付き合わねばならない義務があるわけでもありません。

結果として、やむなく、この執拗な攻撃を止める手段を探そうと思い、相手がどのような方なのかを自分で調べてみました。ここでも、何か私が悪どい手を使って個人名を入手したのではないか、等と大袈裟に取り沙汰されていますが、 単純に相手やそのお仲間が当時ネットにご自分で公開していた情報を手掛かりにして推定しただけで、何か特別な手段を使ったわけではありません。

結論として、相手がソニーの現役社員であることがわかり、今回の行動をとりました。ソニーは今、会社の危機なのに、その現役社員がtwitterでの個人攻撃にうつつを抜かしているようなスタンスに苦言を呈したいと思いましたし、他方では、私なりにその人の現場での苦悩がわかるような気もしましたので、ソニーの凋落に関して自分が日頃感じていることをこの事件に絡めてまとめておこうと思いました。それが現代ビジネスに寄稿したメッセージになります。

私の行為については、実名を暴いたとか個人情報を晒したとか、かなり感情的に誇張して捉えられているように感じています。  上記の通り、ソニーの社員であることは当人やお仲間がご自身で発信していた情報から簡単にわかりましたし、私は延々と続く匿名での個人攻撃をやめていただきたい、という意図から、既に公開されていた情報から知ることのできたその方のお名前でメッセージを投げてみただけです。自分が執拗に受け続けていた信用棄損や名誉棄損の被害拡大を止めたくて、ひとつの手段として行ったものですし、上記のような思いもあって、古巣の仲間に声を掛けるという意図でやりました。それ以上の悪意があってやったわけではありません。もちろん、後から思えば、もっと上手い手段ややり方はいくらでもあったと思います。

結局、既にtwitter上では、私が名前で語りかけたことによって相手は私への個人攻撃をやめて問題は一旦収束していました。 それを少し時間が経ってから、無理やり掘り起こして、今回の大炎上を面白がって煽る仕掛けをしたネットメディアの人達や、それに群がって来て、無責任に私や相手の方に、ありとあらゆる罵詈雑言を浴びせかけてきた人達の方こそ、私はよほど悪辣だと思います。

今回の事を通じて、もはや、私がウォークマンを潰したのかどうかについての世間様の評価など、どうでもいいという気持ちになりました。既に8年以上も前のことですし、私の22年間のソニー在籍の一番最後の仕事としてウォークマンを担当した事は事実です。 ソニーを辞める直前の最後の仕事が、当時既に潰れかけていたウォークマンの面倒を見る、という巡りあわせとなり、何とか建て直そうとして全身全霊全力で取り組みました。残念ながらいい結果を残すことは出来ませんでしたが、ソニーの凋落を食い止めたい、という一心でその時にとった行動には何一つ恥じるものはありません。結果を出せなかった責任を取ってソニーも辞めました。世間様にそれをどのように評価されようが、すべてありがたく受け入れればいいだけの話です。ソニーの現在の危機的な状況は当時の比ではありませんので、余計なおせっかいですが、ソニー関連の皆様にはこの危機を正面から見据えて、前を向いて乗り切っていただきたいと切に願っています。

このたびの騒動では、私の経歴からグーグルにもとばっちりが行ってしまったことはまことに遺憾に思っています。私は既にグーグルを辞めていますし、もとよりグーグルにはまったく何の関係もない話です。

以上、まだまだ言葉足らずかもしれませんが、私がこの一週間ほど、ネットでの総攻撃を受けて思ったことをまとめさせていただきました。過去の私のtweetを削除しないことに関しての指摘などもありますが、それは自分の発言や行動は全て自分の履歴であって、拭い去ることは出来ない、という考えに基づくものであり、相手の方に意地悪をしているつもりではありません。また、こちらのブログにいただいたご指摘やご批判もすべて公開しております。

以上がお騒がせした件についての私なりの総括です。 次回からはもう少し言動に注意して余裕のある対応が出来るように精進したいと思います。