2013年8月10日土曜日

日本でクラウドファンディング事業をやる意味

日本ではいわゆる「リスクマネー」が回っていない、とよく言われますが、実際回っていません。2011年の統計ですが、米国での年間のベンチャーに対する投融資の総額が日本円で3兆円程度だったのに対し、日本では1200億円あまりに過ぎません。では、日本にはお金がないのかというと、個人預金の総額は1400兆円とも1500兆円とも言われていますし、企業が内部留保している現金も震災前には500兆円とも言われていました。すなわちお金はあってもそれが将来投資に回っていないという構図なのです。
 
2013年版の世界銀行の各国別のビジネス環境に関する調査(Doing Business 2013)でも、日本は「ビジネス環境総合(ease of doing business)」では185ヵ国中24位にランキングされているにもかかわらず「起業のしやすさ(starting a business)」という項目では114位にランキングされています。前述した投融資環境の問題だけでなく規制面や税金面など、日本からもっとベンチャーを生み出すためには多くの面での改善が必要なのです。
 
アベノミクスの成長戦略ではベンチャー育成に力を入れることになっていますからこの状況が好転して行くことを期待しますが、米国国家情報会議のGlobal Trends 2030 (「2030年世界はこう変わる」、講談社)によると、日本は国家としての繁栄期を1995年に終えて凋落する国として捉えられており、このままでは世界一の高齢者大国として経済も縮小の一途をたどることになっています。2030年までには後17年しかありません。今生まれてくる人達が思春期を迎えて社会人になる頃に日本を衰退国家としないためにはまさに今現在の我々の決意と行動が重要なのです。
 
クラウドファンディングという仕組みは日本でも根付くのか?という議論がありますが、チャレンジする人達を増やし、励ます土壌を育成すると同時に、日本の安定志向で保守的な体質を変えていく為の一石を投じる、という意味では非常に有望なオプションであるのは間違いなく、この手法の利用形態を様々に工夫して浸透させていかねばならないと決意しております。
 
皆様にもより一層の関心をお持ちいただきたいと願っております。