2013年6月11日火曜日

機を見るに敏、事を成すに雄

アベノミクスに浮かれる人達も、アベノミクスを批判する人達も、一様にグローバルレベルで激変する経済環境の真っただ中に置かれていることには何も変わりがない。その中にあって、ここ数ヶ月で大儲けした人もいれば、大損した人もいるだろう。ビジネスに携わる者にとって、「機を見るに敏である」という資質はもっとも重要な資質の一つであるが、一方で、目先のことに一喜一憂するばかりでなく、変わりゆく世の中の行く末を自分なりにじっくり見据えて、人生や社会の将来価値を生み出すような生き方をして行きたいと願う。
 
会社にたとえると、たとえ現在価値が大きくても日々将来価値を生み出すような企業活動を伴わない会社はいずれその企業価値を目減りさせて衰退していく。一方で、設立したばかりで現在価値の小さな会社でも、将来価値が大きくなるような市場やトレンドに目をつけ、日々新たな企業価値を生み出し高めるような活動を積極的に展開する会社は、たとえ最初は苦しい時期が続いても、いずれ大きな価値を社会に還元する存在になり得る。
 
自分が現在価値を守る立場で仕事をしているのか、将来価値を生み出す立場で仕事をしているのか、という視点は、自分自身のその時々の活動をチェックする時に必ず意識しておきたい。事業活動を行う上で、毎日の生活の糧を得るという観点では、「現在価値を守る」為の行為も極めて重要だが、常に成長する会社であり続けようと考えるのであれば「将来価値を生み出す」為の卓越したビジョンや勇気、その上での覚悟と計画に基づいた経営資源の継続投入が不可欠だ。
 
そのようなバランスを欠き、日々の糧を得る為の短期的な結果に一喜一憂しつつ、ひたすら現在価値を食い潰すだけの企業に未来はない。日本衰退の一因は、現在価値や過去の栄光にすがったりぶら下がったりする企業が増えて、将来価値を生み出すことに身体を張ったり、命運を賭けるような企業が減ってしまったことにもあるだろう。
 
アベノミクスの成長戦略の成否は、そのような現状を打破して、新しく元気で将来価値を生み出すことに体を張って頑張る起業家を増やし、その人達を応援する土壌作りとして、資金面でも制度面でも、産業構造の新陳代謝を促進する仕組みを作って行けるかどうか、ということに掛かっている。

2013年6月10日月曜日

大阪新拠点オープン

市長兼野党党首の発言と釈明が巷を賑わせましたが、大阪と東京を行き来していると、同じ日本人なのに人々の立居振る舞いがいろいろと違うことに気付かされます。エスカレーターで立つ位置が左右逆なのは有名な話ですが、信号でも赤信号で平気で渡って行く歩行者が東京よりも多い気がします。New Yorkでも信号を律儀に守る人などいないに等しいのですが、これは、明らかに車が来てなくて危険がないと判断できれば合理的な行動とも言えますし、事故に遭うも遭わないも自己責任という意識が強いせいなのでしょうか。あるいは単純にせっかちな人が多いだけなのでしょうか。また、街を歩いていたり、レストランで食事をしていると、とても人懐っこい人が多いような気もします。東京に比べると見知らぬ人から話し掛けられる機会が多いです。
 
4月末、大阪梅田のJR跡地が再開発されてグランフロント大阪という大阪の新しいビジネス拠点がオープンしました。ここには多くの商業施設に加えて、オフィスやシアター等が併設されていますが、ナレッジキャピタルという様々な知の交流や異業種交流を目的とした場が作られていて注目しています。企業、行政、大学、および一般の人々がさまざまな形で活発に交流する場ができることは大阪の再生にも大いに貢献することになると思います。「ラボ」と名付けられた諸施設では企業や大学などで取り組んでいる新技術や新商品のデモなども行われており、大阪発、関西発のイノベーションにも期待が高まります。私の個人的なイメージですが、「もうかりまっか?」に象徴されるように、もともと関西には商売に対する意識や意欲やセンスの高い「商人」が多く、一方で、消費者もしたたかで金銭感覚の鋭い人が多いように思います。大阪には日本再生のきっかけになるような素養がさまざま揃っているのではないでしょうか?
 
私の会社も、今月よりこちらのナレッジサロンの法人会員となって、大阪はじめ、関西地区での活動の拠点にして行くことにしましたのでよろしくお願い致します。