2013年3月31日日曜日

アートフェア東京訪問

先日、有楽町の東京国際フォーラムで開催されていたアートフェア東京に行ってきました。今年で8回目を迎えた「アートフェア東京」には、国内外からおよそ140のギャラリーが参加したそうで、骨とう品から現代アートに至るまで、多彩な作品が展示・販売されていました。日本の首相経験者で、その後陶芸家・茶人として活動している細川護煕氏の作品も多数出展されていました。
 
例年、5万人を超える来場者があるそうですが、業界関係者がメインでまだまだ一般の認知度が低いということでした。主催者側のある方が、「この業界に20年以上いるが、ほとんど成長しておらず、いいものはみんな海外に行ってしまう」とおっしゃっていたのが印象的でした。一般公開前の招待日に伺いましたが、会場には海外からの方々の姿も目立ち、やはり日本にはいいものが沢山あることをよく知っていて、最近の円安の影響もあり買い付け目的の方も増えているのではないかと思いました。
 
中には、日本から出展された作品として、美術家やミュージシャンなど24人の若手アーティストで作るグループが、共同で暮らしながら作品作りをしていて、その活動を住宅ごと2億5000万円で売り出しているようなものもありました。奇抜ではありますし、賛否両論と思いますが、芸術の発展にとって若い才能を育成することが重要とすれば、こういうのも新しい形の「ファンディング」としてしてアリか、と思いました。
 
話は変わりますが、先日ニューヨークで知り合った佐々木芽生さんがオフィスに遊びに来てくれました。クラウドファンディングで資金を集めて作った映画「Herb & Dorothy」で話題になった方です。今月末から続編のHerb & Dorothy 50x50が公開されますが、こちらもモーションギャラリーなどのクラウドファンディングを活用して制作資金の一部を集めたものです。この作品は、New Yorkの郵便局員だったHerbと、図書館で働いていたDorothyという老夫婦が若い頃から現代アートの作品をこつこつと集め続け、生涯かけて数千点の作品をコレクションした、という話なのですが、余計なウンチクは一切なしに「好き」とか「美しい」という自分達の感性だけで無名の作家の作品を熱心に集め続ける姿が感動的でした。
 
アートの世界を特殊な世界とするのではなく、ごく普通の生活をする人々にとってももっとなじみのある世界に変えて行くこともこれからの課題なのだと感じます。

2013年3月11日月曜日

台湾のクラウドファンディング事業者

本日は、東日本大震災からちょうど2年目の節目の日にあたります。実に速いものです。今でもあの日の恐怖と衝撃はとても鮮明に全身に刻み込まれています。 あらためて、亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると共に、被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。 
 
先日、台北に出張した時に、現地でクラウドファンディングFlyingVを運営する昂圖股份有限公司(Ontoo Inc.)を訪問し、Founder の林弘全(Light Lin)氏、CEOの鄭光延(Tim Cheng)氏に会いました。
 
FlyingVは2012年4月にサービスを開始し、これまでにトータルで230程のプロジェクトを扱ってきたそうです。クラウドファンディングの仕組みとしては、COUNTDOWNと同じAll or Nothing方式による購入型で、最も成功した事例は目標金額の10倍近くを集めた腕時計のプロジェクトだそうです(3,546,200NT、日本円では約1,100万円)。台湾のクラウドファンディング市場もまだ小さいですが、その中でFlyingVのシェアが70%程度ということでした。
 
二人が、「クラウドファンディングで一番大事なのはチャレンジャーとサポーターのTrustだ」、と言っていたのが印象的でした。二人とも同年齢の32歳で、Lightは台湾ローカルのソーシャルサービスを作ってそれをYahoo! 台湾に売り、そのままYahoo! 台湾で4年ほど働いた後にFlyingVをTimと一緒に立ち上げたそうです。Timは台湾で生まれた後、6歳で米国に移り、LAの近くに大学卒業後までいたそうです。ほぼAmerican born Taiwaneseという感じでアメリカナイズされた人でした。IBMやMicrosoftで働いた後、Lightと出会ったそうです。会社は若者ばかり10名程でした。
 
台湾も政治的、経済的にさまざまな問題があり、若者に夢や希望がなく、PCや半導体で栄えた頃に比べると世の中の活気がなくなっていてそのような状況を変えて若者がもっと希望を持ってチャレンジするような社会にしたい、という思いを繰り返し語っていました。”student club”と言ってましたが、台湾には学生団体が多くあり、そこに所属する学生達と頻繁に会い、プロジェクトをスタートするための相談を受けているそうです。実現性の低いものも多いそうですが、そういう若い人達にアドバイスをすることにもやりがいを感じているようでした。二人とも”game change”という言葉をしばしば使いながら、クラウドファンディングは世の中のgame changeをもたらす有望な仕組みだと力説していました。
 
台湾という異国の地でお互いに初対面でしたが、「クラウドファンディング」という共通言語で、すぐに話が通じるのはインターネット時代における醍醐味であるとあらためて実感すると共に、お互いに新しいことに挑戦する人達をサポートしていくことで意気投合して話も弾みました。
 
彼等のサイトのチャレンジもぜひご覧ください!
左:林弘全(Light Lin)、Founder、昂圖股份有限公司 (Ontoo Inc.)
右: 鄭光延(Tim Cheng)、CEO、昂圖股份有限公司 (Ontoo Inc.)