2013年12月13日金曜日

Amazon Prime Air

先日、アマゾンのCEO ジェフ・ベゾスがPrime Airの構想を明らかにしたが、こういう着想は本当に素晴らしいと思う。あらためて、起業家とは、このようなファンタジーを現実のものにして行く実行力のある人のことを言うのだと思う。下記のプロモーションビデオで明らかなように、技術的には既に可能な話で、後は連邦航空局の認可や安全対策など、細々とした課題を克服していけばウェアハウスから一定の距離以内では、基準内の荷物に対して十分に現実的なソリューションになりそうだ。発表によると、最速で2015年までの実用化を目指すそうだが、このような配達ロボットを導入することによって、最終的には、受注から配達までが一気通貫で高度に自動化した究極のECが実現する。

http://www.amazon.com/b?ie=UTF8&node=8037720011

このような宅配ロボットはドローンと呼ばれているようで、アマゾン以外にも数社が異なるドローンを提案しているようだ。下記は、Skycatch社というところが提案しているドローン。

http://vimeo.com/78997627

オックスフォード大学の発表の中に、今後20年で現在の米国の雇用の50%が無くなる、というレポートもある(THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?)。現在、人が行っている労働集約的な仕事はコンピューターやロボットに置き換えられて行く流れが本格化していく、という予測だ。このレポートの中でも、置き換えが最も進む領域のリストに、「Transportation & Material Moving」という項目がある。グーグルが無人走行車の実用化で先行しているのも周知の通りで、最近の発表によると、グーグルでAndroidを立ち上げた立役者のアンディ・ルービンが新しいミッションとしてロボット開発を担当しているらしいこともわかっている。

もちろん、アマゾンの構想については、楽観的過ぎるという懐疑的な見解もあるが、マイクロソフトのビル・ゲイツも、「アマゾンのドローン配達システムは、被災地などへの輸送にも非常に有効であり、人々が考える以上にインパクトのあるものだと考えている。ベゾス氏は、批判的な意見に屈することなくドローン配達サービスを実現させて欲しい」とコメントしている。また、アマゾンとはライバルであるイーベイのCEO ジョン・ドナホも、「実現の難易度が高いことに挑戦することには賛成で、企業にとってイノベーションはとても重要なことだ」と述べている。

アマゾンもグーグルもまさにとどまるところを知らない勢いで未来を手元に引き寄せ続けているが、この二強に根こそぎ持って行かれないように、日本勢も頑張らねばならない!!

2013年11月30日土曜日

関西から日本を元気にする集い

先週の金曜日に大阪のリッツカールトンホテルで開かれた「関西から日本を元気にする集い」に参加しました。これは、テレビ番組「賢者の選択」を制作している矢動丸プロジェクトの前田社長が、番組継続10周年を記念して主催された催しで、関西から日本を元気にしよう!、というノリで、番組に出演した各界の経営者や、関西を拠点に活動する起業家、番組関連者を集めた賑やかな会でした。

基調講演に立たれた建築家の安藤忠雄さんのお話は、出身地である大阪に対する安藤さんの愛情があふれる内容で、行政や時の首相にまで掛け合って大阪の街を活性化させた取り組みの数々を裏話とともに聞かせていただきました。また、大和ハウスの樋口会長のお話しからは、大和ハウスを2兆円起業にまで育て上げた創業者の石橋さんと後を継がれた樋口さんの経営哲学を垣間見ることが出来ました。

前にもこのコラムで書いたことがありますが、大阪の街は人情味に溢れ、商売のセンスに長けた人も多くて、弊社もグランフロントに拠点を設けてからは関西の方々とのさまざまな出会いの機会に恵まれるようになりました。京都に行けばまた大阪とは違った古都の魅力に溢れていて外国からのお客さんも多く、まさに関西は日本を元気にする要素をたくさん持ち合わせている地であると認識しています。

成熟国家としての日本は、東京一極集中から脱却して、日本全国の各地が長い年月の中で熟成させてきたそれぞれの地域の強みや持ち味やエネルギーをあらためて組み立て直しながら新たな国のスタイルを創り上げて行く、そんな時代に入っているのだと思います。

盗聴問題の波紋とネット社会の現実

米国家安全保障局(NSA)による盗聴問題の波紋が広がっているが、ここまで来ると、今後のインターネット社会の在り方そのものへの問題提起でもあると感じている。

そもそも、歴史的には、国家間での盗聴やスパイ活動などは当たり前の話であって、第二次大戦時にも、その後の冷戦時にも、諜報合戦が国益を大きく左右してきた。しかしながら、今回の米国家機関による盗聴問題は、そのターゲットのすそ野が広く一般庶民にまで及んでいることを明らかにした、ということで重大問題であり、噂されてきたプリズムやエシュロンの実在を裏付ける形にもなった。

最近の米国映画で、個人の行動や履歴がすべて捕捉されて監視されているシーンがよく出てくるが、これは決して映画の中だけの話ではない、ということである。

報道によると、これにはグーグルのシュミット会長も怒りを露わにしており、NSAのほかオバマ大統領、連邦議会の議員に苦情を申し立てたとされている。シュミット会長は、「NSAは危害を加える恐れのある約300人を特定するため、(米国民)3億2000万人すべての通話記録を収集した疑いがある。これは公共政策としてひどいというほかない。(中略)そして恐らく違法だろう」と話している。

また、グーグルのセキュリティシステムに関わるとされる社員も、自身のブログで、「Googleの世界各地のデータセンターをつなぐケーブルから通信を傍受するというNSAのやり方は、法を無視する行為である」と非難している。

このような事態を受けて、米国では早速、「Dark Mail Alliance」なるプロジェクトの発足が発表された。NSAの盗聴や検閲を避ける新たな暗号技術を実現する試みだ。スノーデン氏の事件で炎上したメッセージサービスベンダーのLavabit社の創業者が、当局からの捜査協力要請を拒絶して自身のサービスを閉鎖した上で仕掛けたものだ。当局の不当な介入に対して、グーグルの抗議にとどまらず、このような小さな民間企業も徹底抗戦する姿勢を打ち出しているわけだ。

一方で、長く平和ボケの続くわが国では、セキュリティに関する感度も極端に鈍くなっている。今回も、NSAのターゲットに日本も含まれていた、という報道に対して、防衛大臣が「信じたくない」という発言をし、官房長官も「事柄の性質上、発言は控えたい。日米間ではしかるべく意思疎通を行っている」と述べるにとどまり、米国に厳重抗議する考えがない様子であるのには違和感を覚える。つまりは、日本国政府としては、われわれ日本国民の情報が米国の国家機関に筒抜けになっていても、何のアクションも取らない、ということに等しい。

一般庶民としては、今後、電話やインターネット上での自身のやり取りは、すべてどこかの国家機関あるいは第三者によって捕捉されており、電話やインターネットは決して安全な通信手段ではない、ということを強く自覚した上で、自己防衛の策を講じて行くことを考えていかねばならない。

結局、自分自身の安全や財産を守るのは自分しかいない、という原点に立ち戻ることしか術はない。大変便利な世の中になったが、その代償もまた計り知れないのである。

京都高台寺秋の夜のイベント

京都高台寺で開かれた日本画家の山岸泉琳さんのイベントにお招きいただきました。山岸さんは、16年前、高台寺の庭に80畳の絵を制作されたそうですが、このたび、秋をイメージした素晴らしい庭画を再び制作され、そのお披露目のイベントでした。

折からの台風の影響で一時は激しい雨となりましたが、イベントが始まると不思議と雨も止み、暗闇からライトアップで浮き上がった山岸さんの画は幻想的な秋の夜を演出してくれました。写真ではその素晴らしさを再現できませんが、一枚添付しておきます。
夜のお寺という不思議な空間の中で華やかな庭画を見ながら、日本の素晴らしさについて改めて想いを巡らせることができました。

(10月25日 アレックス株式会社メールマガジン からの転載)
 

2013年10月10日木曜日

伊勢神宮参拝

お世話になっている方のアレンジで、式年遷宮を終えたばかりの伊勢神宮の外宮(豊受大神宮)、内宮(皇大神宮)に参拝に行って来ました。幼い頃に家族旅行で両親に連れられて一度行ったきりだったので、人生で二度目のお伊勢参りでした。あいにく台風24号の影響で天候が不安定で途中から土砂降りの雨になってしまいましたが、却って荘厳な雰囲気の中で無事に両正宮での参拝を終えることが出来ました。
 
   
 
20年に一度の式年遷宮とは言っても、この後14の別宮をはじめ、多くの社殿を作り替えるのに11年掛かるそうです。伊勢神宮は正式にはただ「神宮」と呼ぶのが正しいそうで、日本全国で何もつけずに「神宮」と呼んでいいのは伊勢の神宮だけということでした。神話的には外宮は内宮の天照大御神の為の食事を準備するところなのだそうですが、歴史的には長く外宮と内宮の間では確執があったそうで、鳥居の榊の位置や、社殿の作り方など、随所にその名残りがみられました。
 
   
 
案内していただいた方の説明が大変面白くいろいろと勉強になりましたが、外宮も内宮も本殿はほとんど見えない構図になっていたり、外宮は左側通行なのに対して、内宮は右側通行であったり、さまざまな場面に日本文化の奥ゆかしさやおもてなし、あるいは序列や礼儀の原点を感じることが出来ました。
 
それにしても、天候もすぐれず平日であったにもかかわらずものすごい人出で、例年では年間800万人ほどの人出だそうですが、今年は1300万人を超えそうだということでした。

   
 
そんな中、遷宮直後で檜の香りもかぐわしい伊勢参りは、気持ちを清らかにして新たなモチベーションを掻き立てることの出来る有意義な機会となりました。

2013年9月10日火曜日

2020年への期待

先日のオリンピック・パラリンピック東京招致確定のニュースは、日本全体を久々に明るくしてくれた。まさに、待ちに待った瞬間でもあった。自民党政権を復活させて以来、安倍首相には並々ならぬ覚悟と迫力を感じるしそれがきちんと伝わってくる。福島第一原発の汚染水問題に関する答弁を問題視する向きもあるが、あの場面で他にどのような対応の仕方があったというのだろう。不明確な答弁をして、不信感を増幅し、招致を失敗するよりも、半分は事実というより決意表明に過ぎなかったとしても、国のリーダーがあそこまで明確に断言して招致を勝ち取ったことの方を高く評価すべきだと私は思う。オリンピックを東京に招致したことにより、被災地の復興も、原発災害への対応も、そうでなかった場合に比べてはるかに加速するのは間違いない。何より、2020年に向けて国家レベルの明るい目標が設定されたことは日本再生に大いにプラスに作用する素晴らしいことだ。

先日、米国イリノイ大学で活躍し、ロンドンパラリンピック日本代表でもあった車椅子バスケットボール選手、香西宏明さんがドイツのプロリーグに移籍されるということでその壮行会に参加した。いい機会だったので、弊社のクラウドファンディングCOUNTDOWNで心のバリアフリー運動のチャレンジを成功させた池田君江さんとご主人もお誘いした。香西さんは生まれつき、池田さんは事故で車椅子生活を余儀なくされている。香西さんや池田さんの生き方から我々が学ばせていただくことは実に多い。今回の招致もきっかけにして、普段の生活の中でもっと健常者と障害者が自然に接する機会や場が当たり前の世の中を作っていかねばならない、ということを今更ながらに強く思う。

7年後に向けたカウントダウンは今始まったばかりだ。アスリート界のみならず、国家レベルから個人レベルまでのさまざまなチャレンジや活動が数多く始動することだろう。7年というと長いようであっという間だ。それらの多くが実を結び花開き、競技場の内外で、たくさんの感動と笑顔が生み出されることを心から祈念せずにはおれない。

2013年8月10日土曜日

日本でクラウドファンディング事業をやる意味

日本ではいわゆる「リスクマネー」が回っていない、とよく言われますが、実際回っていません。2011年の統計ですが、米国での年間のベンチャーに対する投融資の総額が日本円で3兆円程度だったのに対し、日本では1200億円あまりに過ぎません。では、日本にはお金がないのかというと、個人預金の総額は1400兆円とも1500兆円とも言われていますし、企業が内部留保している現金も震災前には500兆円とも言われていました。すなわちお金はあってもそれが将来投資に回っていないという構図なのです。
 
2013年版の世界銀行の各国別のビジネス環境に関する調査(Doing Business 2013)でも、日本は「ビジネス環境総合(ease of doing business)」では185ヵ国中24位にランキングされているにもかかわらず「起業のしやすさ(starting a business)」という項目では114位にランキングされています。前述した投融資環境の問題だけでなく規制面や税金面など、日本からもっとベンチャーを生み出すためには多くの面での改善が必要なのです。
 
アベノミクスの成長戦略ではベンチャー育成に力を入れることになっていますからこの状況が好転して行くことを期待しますが、米国国家情報会議のGlobal Trends 2030 (「2030年世界はこう変わる」、講談社)によると、日本は国家としての繁栄期を1995年に終えて凋落する国として捉えられており、このままでは世界一の高齢者大国として経済も縮小の一途をたどることになっています。2030年までには後17年しかありません。今生まれてくる人達が思春期を迎えて社会人になる頃に日本を衰退国家としないためにはまさに今現在の我々の決意と行動が重要なのです。
 
クラウドファンディングという仕組みは日本でも根付くのか?という議論がありますが、チャレンジする人達を増やし、励ます土壌を育成すると同時に、日本の安定志向で保守的な体質を変えていく為の一石を投じる、という意味では非常に有望なオプションであるのは間違いなく、この手法の利用形態を様々に工夫して浸透させていかねばならないと決意しております。
 
皆様にもより一層の関心をお持ちいただきたいと願っております。

 

2013年7月23日火曜日

年齢を重ねるということ

今月、誕生日を迎えてまた一つ歳を重ねた。私と同じ世代の友人達は、大抵が民間企業や公官庁で、そろそろ上がりのポジションに入って、傍から見ていると悠々自適な生活を満喫しているようだ。本社で上り詰めることは叶わなくとも、子会社等で比較的余裕のあるポジションに着いたり、子供たちも既に巣立っていて、やれゴルフだの、夫婦での海外旅行だのと、金銭的にも時間的にも余裕のある生活を送っているように見える。
 
それに比べて、私自身は現在起業して3年が経ち、自ら始めた事業を軌道に乗せようと悪戦苦闘の毎日が続いている。先日、久し振りに会った昔の同僚から、「もっと楽な選択肢はいくらでもあったろうに、一体、何の為にまだそんな苦労を続けているのですか?」と面と向かって言われた(笑)。なるほど、そのような見方もあるのかもしれないな、と思った。
 
しかし、人にどう思われようと、これが自分の求める生き方なのだから仕方がない。こんなに課題や可能性に満ち溢れた時代を迎えて、このまま穏便にリタイアして行くというような生き方は自分には絶対に出来ないし向いていないのだ。
 
今のような生き方にはっきりと転換できたのはやはりソニーを辞めたからだろう。ソニー時代には大企業のエスタブリッシュメントとしての自分の将来像をイメージしていた時期もあったように思う。だから、その頃の自分からすれば、今の自分の生きる道は想像だに出来なかったかもしれないし、当時の自分とは人生の価値観も内面も大きく変わったと感じる。しかし、そのお陰で、いろいろと日々の生活は大変でも、自分の思い通りに、フットワークのいい生き方を手に入れることが出来た。
 
昔、クリント・イーストウッドが歳を取ることについて「よりいい人間になるということだ」とサラリと言ってのけていたのをアメリカのTV番組で見かけて、実に爽やかでカッコいい人だな、と思った。年齢的にもその境地にはまだまだほど遠いが、生涯、何かに挑戦し続ける生き方を続けられたら本望だ。
 
健康に留意しながら、周囲への感謝の気持ちを忘れずに、また新たな成長や飛躍を実感できる歳にしたいと思う。

2013年7月5日金曜日

久し振りの欧州訪問

先日、数年ぶりに欧州を訪ねました。 
 
ルクセンブルク経済通商省東京貿易投資事務所のアレンジで6月19日、20日にルクセンブルクで開催されたICT 2013 Spring, Europeに参加して基調講演を行ってきました。
 
講演のテーマはHow Japan should contribute to the world in the era of cloud computing として、震災後の復興遅延の様子や家電業界を始めとした産業界の苦境を概観し、クラウドコンピューティングの時代を迎えて日本は大きく変わらねばならないこと、そして、20世紀に工業製品の輸出でmade in Japanブランドを築き上げたスタイルやビジネスモデルとは別の発想、別のやりかたで世界貢献をして行かねばならないことを持論として展開しました。その上で、現在弊社で進めていること、および今後やろうとしていることについてALEXCIOUSおよCOUNTDOWNそれぞれのサイト紹介も含めて行ないました 
 
全体の来訪者が4000名ということでしたので、比較的小規模なイベントでしたが、日本からも10数社のスタートアップの若い経営者達が参加していて頼もしく思いました。現地の投資家や起業家支援団体の人達も含め、朝食会、夕食会などで活発な交流が行われました。 
 
ルクセンブルクには日本人が経営する日本食レストランは2軒のみということでしたが、25年間続けていてHenri大公もお気に入りという「鎌倉」という和食レストランを訪れて宮前さんというオーナーとも懇談しましたが、世界中どこに出掛けても現地の人達に一目置かれた日本人が活躍している姿に接するのは嬉しいものです。
 
Tsumeという社名のフィギュア制作会社も訪問しましたが、社長はじめ、スタッフは全員欧州の外国人。東映アニメやバンダイなど、日本のライセンサーから正式に地域限定ライセンスを受けてキャラクターフィギュアの3Dモデリングと制作を行っていました。日本で言えばグッドスマイルカンパニーを小規模にしたような感じでした。丁度、7月初旬のパリでのJapan Expoに向けた新作の運び出しの準備を行っていましたが、非常にクウォリティの高い作品を作っていました。今や日本のアニメやコミックに大きな影響を受けて育った外国人は珍しい存在ではなくなりました。
 
西ヶ廣大使から日本大使公邸でのランチにご招待いただき、ルクセンブルク経済通商省の人達も加わって日欧の経済情勢等の情報交換、意見交換を行いましたが、ちょうど終わったばかりのG8の様子などを興味深く聞かせていただきました。日本ではアベノミクスに関心が集まったような報道もありましたが話題の中心は圧倒的にシリア情勢についてだったとのことでした。
 
その後に立ち寄ったパリでは、漫画、雑貨、食品、日本酒、着物、茶・茶道具等、日本関連の商品を扱っているところを網羅的に案内してもらいましたが、うどん屋が流行っていてどこも入り口に行列が出来ているのが印象的でした。2大百貨店であるプランタンとラファイエットおよび老舗百貨店のボンマルシェ、日仏文化会館なども訪問しましたが、ボンマルシェには日本酒の販売コーナーもあってさまざまな銘柄が試飲されていました。
 
パリの後でロンドンにも立ち寄りましたが、ソニー時代に頻繁に訪れていた頃に比べると圧倒的に中国人が増えているのが目立ちました。ブランド店や空港なども大勢の中国人で溢れ返っている印象でした。また、もともと欧州での日本車のシェアはそれほど高くはないものの、それでも当時はそこそこ走っていたように記憶していますが、今回は日本車はまったく見かけませんでした。家電量販店には立ち寄りませんでしたが、街中ではSamsungの広告を見かけることはあっても、ソニーやパナソニックの宣伝を見かけることはなく、数年前に比べて、前述のような新たな日本ブームとは裏腹に、かつてこの世の春を謳歌した分野での日本の国力の衰えを実感しました。 

Louvre, Paris
Team "Tsume"

2013年6月11日火曜日

機を見るに敏、事を成すに雄

アベノミクスに浮かれる人達も、アベノミクスを批判する人達も、一様にグローバルレベルで激変する経済環境の真っただ中に置かれていることには何も変わりがない。その中にあって、ここ数ヶ月で大儲けした人もいれば、大損した人もいるだろう。ビジネスに携わる者にとって、「機を見るに敏である」という資質はもっとも重要な資質の一つであるが、一方で、目先のことに一喜一憂するばかりでなく、変わりゆく世の中の行く末を自分なりにじっくり見据えて、人生や社会の将来価値を生み出すような生き方をして行きたいと願う。
 
会社にたとえると、たとえ現在価値が大きくても日々将来価値を生み出すような企業活動を伴わない会社はいずれその企業価値を目減りさせて衰退していく。一方で、設立したばかりで現在価値の小さな会社でも、将来価値が大きくなるような市場やトレンドに目をつけ、日々新たな企業価値を生み出し高めるような活動を積極的に展開する会社は、たとえ最初は苦しい時期が続いても、いずれ大きな価値を社会に還元する存在になり得る。
 
自分が現在価値を守る立場で仕事をしているのか、将来価値を生み出す立場で仕事をしているのか、という視点は、自分自身のその時々の活動をチェックする時に必ず意識しておきたい。事業活動を行う上で、毎日の生活の糧を得るという観点では、「現在価値を守る」為の行為も極めて重要だが、常に成長する会社であり続けようと考えるのであれば「将来価値を生み出す」為の卓越したビジョンや勇気、その上での覚悟と計画に基づいた経営資源の継続投入が不可欠だ。
 
そのようなバランスを欠き、日々の糧を得る為の短期的な結果に一喜一憂しつつ、ひたすら現在価値を食い潰すだけの企業に未来はない。日本衰退の一因は、現在価値や過去の栄光にすがったりぶら下がったりする企業が増えて、将来価値を生み出すことに身体を張ったり、命運を賭けるような企業が減ってしまったことにもあるだろう。
 
アベノミクスの成長戦略の成否は、そのような現状を打破して、新しく元気で将来価値を生み出すことに体を張って頑張る起業家を増やし、その人達を応援する土壌作りとして、資金面でも制度面でも、産業構造の新陳代謝を促進する仕組みを作って行けるかどうか、ということに掛かっている。

2013年6月10日月曜日

大阪新拠点オープン

市長兼野党党首の発言と釈明が巷を賑わせましたが、大阪と東京を行き来していると、同じ日本人なのに人々の立居振る舞いがいろいろと違うことに気付かされます。エスカレーターで立つ位置が左右逆なのは有名な話ですが、信号でも赤信号で平気で渡って行く歩行者が東京よりも多い気がします。New Yorkでも信号を律儀に守る人などいないに等しいのですが、これは、明らかに車が来てなくて危険がないと判断できれば合理的な行動とも言えますし、事故に遭うも遭わないも自己責任という意識が強いせいなのでしょうか。あるいは単純にせっかちな人が多いだけなのでしょうか。また、街を歩いていたり、レストランで食事をしていると、とても人懐っこい人が多いような気もします。東京に比べると見知らぬ人から話し掛けられる機会が多いです。
 
4月末、大阪梅田のJR跡地が再開発されてグランフロント大阪という大阪の新しいビジネス拠点がオープンしました。ここには多くの商業施設に加えて、オフィスやシアター等が併設されていますが、ナレッジキャピタルという様々な知の交流や異業種交流を目的とした場が作られていて注目しています。企業、行政、大学、および一般の人々がさまざまな形で活発に交流する場ができることは大阪の再生にも大いに貢献することになると思います。「ラボ」と名付けられた諸施設では企業や大学などで取り組んでいる新技術や新商品のデモなども行われており、大阪発、関西発のイノベーションにも期待が高まります。私の個人的なイメージですが、「もうかりまっか?」に象徴されるように、もともと関西には商売に対する意識や意欲やセンスの高い「商人」が多く、一方で、消費者もしたたかで金銭感覚の鋭い人が多いように思います。大阪には日本再生のきっかけになるような素養がさまざま揃っているのではないでしょうか?
 
私の会社も、今月よりこちらのナレッジサロンの法人会員となって、大阪はじめ、関西地区での活動の拠点にして行くことにしましたのでよろしくお願い致します。

2013年5月14日火曜日

妄想の力

「思考は現実化する」というナポレオン・ヒルの古い必読書があるが、画期的な発明や、人類を救うようなイノベーションや、新しい事業や、あるいは、テロや戦争など、世の中のありとあらゆる物や出来事はすべて誰かたった一人の妄想から始まる。

イーロン・マスクという南アフリカ出身の40歳そこそこの起業家がいるが、彼は大学生の時に、これからの人類に必要なものは何かをさまざまに妄想したそうだ。結論は「インターネット」「持続可能エネルギー」「惑星への移住」。その後、アメリカで起業した彼は、現在のペイパル、テスラモーターズ、スペースエックスを創業したり経営したりしている。すなわち、インターネット上にオンライン決済のインフラを作り上げ、電気自動車の会社を経営すると同時に、宇宙に初めて民間の商用ロケットを飛ばして成功させている。大学時代に抱いた妄想をすべて現実化させたりさせつつあるのだ。別の注目点は、このようなダイナミックなチャレンジが個人の起業家に巨額のリスクマネーが集まって現実化していく、というプロセスだ。決して公官庁や大企業が推進しているわけではない。

今は時代の大きな変わり目であり、チャンスに満ち溢れた時代と言える。日本の中からもスケールの大きな妄想を抱く若者が多く輩出され、育っていく土壌を作っていかねばならない。昔のソニーは「出る杭求む」というキャッチコピーを人材募集の広告に使った。弊社のクラウドファンディング「COUNTDOWN」もチャレンジ募集に敢えてそのソニーの文言を拝借し「出る杭、求む!」を掲げている。世の中の新陳代謝を率先垂範する才能ある人達との出会いをどんどん広げて行きたいと願っている。

2013年4月11日木曜日

The Road Less Traveled

心がへこんだ時に取り出して眺める古い本がある。その書き出しは、「人生とは困難なものである。」という一言だ。そして、続く。「これは偉大な真実、最も大きい真実の一つである。ひとたびこの真実を悟ればそれを超越できるという意味で、それは偉大な真実なのである。一旦この真実を理解して本当に受け入れるならば、人生はもはや困難なものではなくなる。」
 
Morgan Scott Peckという米国の精神科医が書いた「The Road Less Traveled」(邦訳:愛と心理療法、創元社)という本の出だしだ。この本との出会いは覚えていないが、この一言にいつも心が救われる。上記の一節に続くくだりをもう少し紹介する。
 
「大抵の人たちはこの心理を充分悟ってはいない。むしろ彼らは、たえず自分の問題、重荷や障害が大きすぎると、大仰にあるいはひっそりと嘆いている。まるで、人生は総じて楽なものだ、楽であるべきだというように、である。自分が直面している困難は、どこにでもあるような不幸なことではない。どういうわけか、いわれもなく、よりにもよってこの自分に、あるいは自分の家族、部族、階級、国、民族、あるいは人類に課せられた不幸なのだ、と大声で、あるいは小声で言う。私はこのような嘆きがよくわかる。私も人並みに同じように嘆いてきたからである。」
 
彼が言うように、「人生とは楽なものである」、という前提に立つと、ちょっとしたことでイライラし、どんどんストレスが溜まっていく。「何故、よりによって自分ばかりがこうついていないんだ」、と世を呪うようにすらなる。しかし、「そもそも人生とは困難なものである」、という前提に立つと、ほんの小さなこと、ちょっとしたことが、大きな喜びや深い感謝の気持ちに繋がっていく。困難を嘆くのではなく、問題を解決するエネルギーが湧きあがってくる。
 
所詮、人生とは、身の回りに抱える課題や次々と起きる問題を解決するための訓練を積む場なのだと割り切れば、気持ちも少しは楽になるのだ。

2013年3月31日日曜日

アートフェア東京訪問

先日、有楽町の東京国際フォーラムで開催されていたアートフェア東京に行ってきました。今年で8回目を迎えた「アートフェア東京」には、国内外からおよそ140のギャラリーが参加したそうで、骨とう品から現代アートに至るまで、多彩な作品が展示・販売されていました。日本の首相経験者で、その後陶芸家・茶人として活動している細川護煕氏の作品も多数出展されていました。
 
例年、5万人を超える来場者があるそうですが、業界関係者がメインでまだまだ一般の認知度が低いということでした。主催者側のある方が、「この業界に20年以上いるが、ほとんど成長しておらず、いいものはみんな海外に行ってしまう」とおっしゃっていたのが印象的でした。一般公開前の招待日に伺いましたが、会場には海外からの方々の姿も目立ち、やはり日本にはいいものが沢山あることをよく知っていて、最近の円安の影響もあり買い付け目的の方も増えているのではないかと思いました。
 
中には、日本から出展された作品として、美術家やミュージシャンなど24人の若手アーティストで作るグループが、共同で暮らしながら作品作りをしていて、その活動を住宅ごと2億5000万円で売り出しているようなものもありました。奇抜ではありますし、賛否両論と思いますが、芸術の発展にとって若い才能を育成することが重要とすれば、こういうのも新しい形の「ファンディング」としてしてアリか、と思いました。
 
話は変わりますが、先日ニューヨークで知り合った佐々木芽生さんがオフィスに遊びに来てくれました。クラウドファンディングで資金を集めて作った映画「Herb & Dorothy」で話題になった方です。今月末から続編のHerb & Dorothy 50x50が公開されますが、こちらもモーションギャラリーなどのクラウドファンディングを活用して制作資金の一部を集めたものです。この作品は、New Yorkの郵便局員だったHerbと、図書館で働いていたDorothyという老夫婦が若い頃から現代アートの作品をこつこつと集め続け、生涯かけて数千点の作品をコレクションした、という話なのですが、余計なウンチクは一切なしに「好き」とか「美しい」という自分達の感性だけで無名の作家の作品を熱心に集め続ける姿が感動的でした。
 
アートの世界を特殊な世界とするのではなく、ごく普通の生活をする人々にとってももっとなじみのある世界に変えて行くこともこれからの課題なのだと感じます。

2013年3月11日月曜日

台湾のクラウドファンディング事業者

本日は、東日本大震災からちょうど2年目の節目の日にあたります。実に速いものです。今でもあの日の恐怖と衝撃はとても鮮明に全身に刻み込まれています。 あらためて、亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると共に、被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。 
 
先日、台北に出張した時に、現地でクラウドファンディングFlyingVを運営する昂圖股份有限公司(Ontoo Inc.)を訪問し、Founder の林弘全(Light Lin)氏、CEOの鄭光延(Tim Cheng)氏に会いました。
 
FlyingVは2012年4月にサービスを開始し、これまでにトータルで230程のプロジェクトを扱ってきたそうです。クラウドファンディングの仕組みとしては、COUNTDOWNと同じAll or Nothing方式による購入型で、最も成功した事例は目標金額の10倍近くを集めた腕時計のプロジェクトだそうです(3,546,200NT、日本円では約1,100万円)。台湾のクラウドファンディング市場もまだ小さいですが、その中でFlyingVのシェアが70%程度ということでした。
 
二人が、「クラウドファンディングで一番大事なのはチャレンジャーとサポーターのTrustだ」、と言っていたのが印象的でした。二人とも同年齢の32歳で、Lightは台湾ローカルのソーシャルサービスを作ってそれをYahoo! 台湾に売り、そのままYahoo! 台湾で4年ほど働いた後にFlyingVをTimと一緒に立ち上げたそうです。Timは台湾で生まれた後、6歳で米国に移り、LAの近くに大学卒業後までいたそうです。ほぼAmerican born Taiwaneseという感じでアメリカナイズされた人でした。IBMやMicrosoftで働いた後、Lightと出会ったそうです。会社は若者ばかり10名程でした。
 
台湾も政治的、経済的にさまざまな問題があり、若者に夢や希望がなく、PCや半導体で栄えた頃に比べると世の中の活気がなくなっていてそのような状況を変えて若者がもっと希望を持ってチャレンジするような社会にしたい、という思いを繰り返し語っていました。”student club”と言ってましたが、台湾には学生団体が多くあり、そこに所属する学生達と頻繁に会い、プロジェクトをスタートするための相談を受けているそうです。実現性の低いものも多いそうですが、そういう若い人達にアドバイスをすることにもやりがいを感じているようでした。二人とも”game change”という言葉をしばしば使いながら、クラウドファンディングは世の中のgame changeをもたらす有望な仕組みだと力説していました。
 
台湾という異国の地でお互いに初対面でしたが、「クラウドファンディング」という共通言語で、すぐに話が通じるのはインターネット時代における醍醐味であるとあらためて実感すると共に、お互いに新しいことに挑戦する人達をサポートしていくことで意気投合して話も弾みました。
 
彼等のサイトのチャレンジもぜひご覧ください!
左:林弘全(Light Lin)、Founder、昂圖股份有限公司 (Ontoo Inc.)
右: 鄭光延(Tim Cheng)、CEO、昂圖股份有限公司 (Ontoo Inc.)

2013年2月27日水曜日

決めて行動する国になるために

私は別に右寄りとか国粋主義者とかいうことではありませんが、日本が真の独立国家として一人前の国になるためにはやはり日本人自らの手で憲法を書き換える必要があるのだろうと思っています。現行の日本国憲法は平和憲法などと呼ばれていますが、もともとは太平洋戦争後に占領軍によって草稿されたいわゆる「マッカーサー草案」がもととなっており、第九条の裏には、日本復活に対する脅威から、二度と軍事力を持って立ち上がれない国にしてしまおう、という当時の戦勝国の本音や思惑が透けて見えるものです。また、いずれにしても、この憲法は1947年に施行されてから既に65年余を経ていますが一度も改正されていません。上記の思惑から改正手続きが困難な規定となっているからです。

しかし、国の憲法とはコンピューターのOSのようなものです。時代はどんどん変わっていて、まさにコンピューターの世界もパーソナルコンピューターの時代からクラウドコンピューターの時代へと遷り、マイクロソフトのWindowsが全盛だった時代が終わって、よりクラウドに即したAndroidやChrome OSやiOSの時代に代わっています。そう考えれば、国のOSである憲法が時代に合わせて修正されていくべきものであることはむしろ当然です。同じ敗戦国のドイツは、憲法にあたるドイツ連邦共和国基本法を東西ドイツ統一以前に35回、統一後に22回も改正しています。また、米国も合衆国憲法を戦後6回改定しています。まさに憲法とは生きているものであって時代と共に改正されていくのが自然なのです。

現在の日本国憲法は、「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」が三大要素といわれていてその精神は今後とも踏襲されるべき素晴らしいものであると思います。しかしながら、マッカーサーから「日本人の精神構造は12歳だ」と言われながら占領軍が主体的に起草したものから、日本人自らの手で時代に合わせて改定し、世界における日本国の責務を自己責任で再定義していくことはこれからの国家の主権と発展を考えると避けては通れないことです。

ちょうど一年前、東日本大震災から約一年たった2012年3月に被災地を訪れました。そこで私が見たものは、遅々として復興が進まず、瓦礫や廃車が積み重なり、倒壊した建物や押し流された船などがそのまま横たわる光景でした。震災は、まぎれもなく天災でありました。しかしながら、その復興が進まないことは人災です。復興が遅れているのは、これほどの非常事態においてすらスピードのあるデシジョンと行動が出来ない国になっているからです。 

政権が自民党に戻って被災地の復興が加速することを期待していますが、非常事態であっても大事なことを先送りして何も決められず、迅速な行動が取れなくなっているこの国のスタイルを根本から作り変えていくためには、やはりOSである憲法を自らの手で時代に合わせて見直していくことが原点になるのではないでしょうか。

2013年2月14日木曜日

起業家スーパーカンファレンス2013

三連休最終日の2月11日(月)に、品川で行われた起業家スーパーカンファレンス2013というイベントでの対談に呼ばれて行ってきました。ソニー時代にVAIO事業を立ち上げたとき以来の古いお付き合いのインテルジャパン初代社長の傳田信行さんとの対談でしたが、他に、KLabの真田哲弥さんや、Optの鉢嶺登さん、リブセンスの村上太一さん、タリーズコーヒーの創業者で参議院議員の松田広太さんなど、多彩な起業家の皆さんがお集まりでした。聴衆は就職を控えた学生さん達500名程でしたが、「日本の開業率を10%に引き上げる」というコンセプトに共鳴して参加しました。
 
このようなイベントに行くたびに思いますが、日本の若者は大人しくなったとか、草食系とか、いろいろと言われますが、休日を潰してこのようなイベントに集まってくる熱心な若者はたくさんいますし、就職よりも起業したいと思っている若者もたくさんいます。大切なことはこういう人達が本物の起業家として巣立って行くために、周囲の先輩達がどんなことでもサポートの労を惜しまない、ということだと思います。資金援助でも、ビジネスプランへのアドバイスでも、専門家の紹介でも、自分の経験談で参考になることでも、伝えるべきことを惜しみなく伝え、援助できることはどんなことでも手を差し伸べる、ということがとても大切だと思います。
 
何度も言いますが、昨年の世界銀行の調査では、起業のし易さ、という項目で日本は183か国中107位でした。この順位を上げて行くためには、資金提供のインフラ整備や規制緩和にとどまらず、チャレンジする人を応援する風土、チャレンジして失敗した人の再チャレンジを奨励する土壌を作って行くことが何より大切だと思います。自分自身も起業した事業を軌道に乗せるのに奔走する毎日ではありますが、若い人達を支援する活動には今後も出来る限り協力して行きたいと思っています。
 
それにしても久しぶりにお目に掛かった傳田さんは、長い間人工透析をしておられましたが、数年前に腎臓移植の手術をされ、その後、見違えるようにお元気になり、今年65歳を迎えられるということでしたが、すっかり若返られて、精力的に新しいことにもどんどん挑戦しているというお話しで大変に嬉しく思いました。

2013年1月31日木曜日

4年ぶりのNew York訪問

今週はNew Yorkに来ております。ソニー時代には毎月通うように来ていた時期もあったのですが、グーグル時代に来たのを最後に、今回のNew York訪問は4年ぶりくらいになります。ここに来るといつも感じるのはこの街から発せられている何ともいえない強力なエネルギーです。金融や小売りや芸術やエンターテインメントの世界的な拠点でもありますが、ここで一旗揚げてやろうという野心や向上心の強い人達が全米からそして世界中から集まってくるせいなのでしょうか。今週はInternational Gift Fairというイベントが開催されていたのですが、会場も世界中から集まってくる多くのサプライヤーやバイヤーの熱気に包まれておりこの街から世界中に発信される最新のトレンドを感じることが出来ました。
 
一方で、今回は、以前にも増して、都市インフラが劣化している気がしました。日本でも先日の中央高速でのトンネルの天井崩落事故をきっかけに、首都高などのインフラ劣化が議論となっていますが、市中をバスやタクシーで移動するときに交通の流れがまったく上手くいかなくなっていてちょっとした移動にも予想外の時間が掛かってしまう状態です。道路も傷んでいるところが非常に増えていて、いたるところで補修工事が行われています。昨年この街を襲ったハリケーンの被害の影響もまだ残っているようです。もちろん、地下鉄もありますし、マンハッタンの中は比較的狭いので徒歩で移動、という選択肢もありますが、寒い日や雨の日の移動はタクシーもつかまりにくくて本当に一苦労です。
 
そう考えると、東京の素晴らしさは群を抜いています。駅の自動改札やどこにでもあるコンビニエンスストア、公衆トイレのウォシュレットに至るまで、便利で快適なことはこの上ないと思います。東京では当たり前のモノやサービスでも、世界の大都市New Yorkですらあり得ない様なモノやサービスであることにあらためて気付かされます。日本で皆が享受しているような生活の便利さや快適さを、世界にもっと発信、拡散していくことにはまだまだいくらでも余地があるのだということを改めて感じています。

2013年1月10日木曜日

潮目は変わった

2013年も既に10日余りが過ぎましたが、あらためまして新年おめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

年末に政権も自民党に戻り、第二次安倍内閣は直ちに経済再生最優先で精力的に動き始め、緊急経済対策の策定や産業競争力会議の組織化などのアクションも迅速です。結果的に株価や為替も好感しており、2013年は近年になく明るいスタートになったと感じております。とにかく、早急なデフレ脱却と成長戦略の確実な実行に大いに期待したいと思います。

一方で、確実に経済を再生させるためには、当然、政府に任せているだけでは駄目で、我々国民の一人一人が潮目が変わったことをきっちりと認識して力強く前に向かって進んで行く姿勢も大事だと思います。民主党政権下の暗黒の3年間ですっかり沈滞してしまった人々の意識が後ろ向きなまま変らなければ、せっかくの政権交代をチャンスとして活かして行くことになりません。今はまず、世間の雰囲気を明るくすることが肝要です。そういう意味では、たとえば2020年のオリンピックの東京招致なども日本全体を明るくする好材料ですから、国民の関心を高めて国家プロジェクトとして何が何でも招致を勝ち取る、といったムードを一気に盛り上げるようなことも大いに有効だと思います。

先日、「日本経済復活のカギは?」というテーマでテレビ朝日の朝の番組に出演した時にも申し上げたのですが、家電や製造業があらためて活性化していく為には、①人のコピーではなくて新しい領域を開拓する ②生み出した商品は国内だけでなく最初から世界で同時に販売する というスタンスが肝要です。Chris Andersonの"Makers"という本が話題になっていますが、インターネットの発達や、ハードウェアのダウンサイズ・低価格化の結果、製造業も大きく変遷しつつあります。今や高度な3DCADや3DプリンターがPCベースで家庭でも使える時代で、「デスクトップ工房」などという言葉も生まれています。また、開発資金の集め方や、人手の確保などの面でも、いわゆるCrowd(群衆)の力を活用する手段が増えています。弊社のALEXCIOUSCOUNTDOWNもそういう流れを意識して開発したものです。

真の経済再生の為には、昔の日本がそうであったように、まず、未知の領域に果敢に挑む開拓者精神を取り戻すことが何よりも重要なことだと思います。そして、20世紀の延長線上で発想したり行動するのではなく、ネットやソーシャルやクラウド(Cloud、Crowd)をキーワードとした21世紀の新しいスタイルを生み出しながらやり遂げて行く必要があるのです。