2012年7月6日金曜日

加齢は進化

人は皆平等に歳を取る。どんな高齢者にも若い時代はあり、どんな若者もいずれ歳を取っていく。ひとつひとつの年齢は一度しかないかけがいのない年齢なのだからその年齢を楽しんで精一杯生きることが大切だと思う。

よく「自分はまだ若く未熟者だから、、、」とか「いい歳をして、、、」「もう歳だから、、、」などと年齢を言い訳にする人がいるが、 年齢を言い訳にしない生き方がいいと思う。 また、若い人は年配の人達から学べることがたくさんあるし、逆に年配者は若い人達から学べることがたくさんあるので、出来るだけ世代をまたがった交流を心掛けることも大切だと思う。

一般的に、歳を取っていくと肉体的にも精神的にも衰えて行くと言われているが(認めたくない?)、年齢に負けないようにチャレンジするのはとてもいいことだと思う。そういう意味でAnti Agingという言葉もとてもいい言葉だと思う。歳を取ることに対するネガティブな言葉やイメージをポジティブなものに変えるためには、言葉の言い換えをするといいと思う。たとえば、「老化」は「進化」や「成熟」でもある。

昔、クリント・イーストウッドがテレビのインタビュー番組で、「歳を取るということはよりいい人間になるということだ」とさらっと言うのを聞いてなんてかっこいいんだろう、と思った。 Gran Torinoは、若者を更生させる老人の話だったが、いい映画だった。そう、歳とともに老化して衰えて行く人生ではなく、死ぬまで「よりいい人間」を目指して進化し続ける人生を送りたい。

そんなことを思っていたら今月は自分の誕生月であることに気付いた。「進化」を心掛けたいと思う。

2012年7月1日日曜日

シンプル

少し前に、最近出版されたKen Segall著「Think Simple」(NHK出版)を読みました。アップルやスティーブ・ジョブズと長年一緒に仕事をした外部のクリエイティブ・ディレクターがジョブズのスタイルの特徴を10のキーワードでまとめたものですが、これを読んでいると、あまたの日本の大企業が駄目になっていく理由がクリアに説明されているようで非常に面白かったです。日本の大企業だけでなく、マイクロソフト、インテル、デルなどが最近精彩を欠くようになってきている理由も同じです。

その理由を一言で言うと、我々は何事も、物事を複雑にしていく傾向があり、企業も大きくなるにしたがって、シンプルさをどんどん失っていってしまうということです。一方で、ジョブズのスタイルはあくまでもシンプルさを追求することに一切妥協しなかった、ということをさまざまな具体事例を盛り込んで余すことなく説明しています。私もソニー時代、グーグル時代の経験に照らし合わせてまさにその通りと感じました。たとえば、家電量販店に行って、PC売り場にでもTV売り場にでも行くと、各社のあまりにも多くのモデルが並んでいて一体どれを買っていいか迷った経験は誰にでもあるでしょう。オンラインショッピングの場合も同じです。それに対して、アップルのノートPCはMacBook ProとMacBook Airしかなく、それぞれに画面サイズ等のスペックの違うモデルが2モデルずつあるだけという実にシンプルなラインナップを堅持しています。誰もがアップルの成功をうらやみ、このようなモデル数の絞り込みを正しいラインナップ戦略と理解しながらも、どこも決して同じようには出来ないのです。あるいは、大企業の戦略会議などでは、各部署から代表者を出したり、さまざまな人達への配慮から、あっという間に大人数の大会議になってしまいますが、そうなると議論に時間ばかりかかって一向にデシジョンやアクションに繋がらない、といった経験も誰にもあるでしょう。まるで今の民主党のようですが(笑)。。。ジョブズのスタイルは、会議のメンバーはその会議にとって決定的に重要な少人数しか招かない、観客のような人が混ざっていたら退席させる、という点でも徹底していたようですが、これもわかっていても普通の組織ではなかなかできないことだと思います。

勝つためのセオリーなど、本来は実にシンプルなものだと思います。そのシンプルなセオリーを厳格に徹底して実行できるかどうか、ということにすべてがかかっているのです。今決めねばならないことを明日に伸ばす、すぐに返事をしなければならない案件を放置する、会議に余計な人を混ぜる、はっきり言えばいいことを婉曲的に言う、最初から一つだけ作ればいいものをバックアップも含めて複数作る、などなど、こういう行為が物事をどんどん複雑にしていってしまって、気が付いたら時間やお金や大事な経営資源をどんどん無駄にしていってしまうのです。シンプルさの追求とは当たり前のセオリーでありながら決して皆が出来ることではないのです。