2016年9月28日水曜日

出会いの意味

ツイッター等で、「自分の人生が一つの物語だとすれば、一生の中で出会う人達は、皆その物語を構築する重要な登場人物である。仮に、どんなに悪役や脇役に見える人がいたとしても、それぞれの登場人物には大切な役回りがある。誰一人欠けてはいけない」という言葉が引用されているのをよく見かけます。

これは、私が初めて上梓した2010年の書籍『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』(新潮社)の「エピローグ」に書いた一文なのですが、実際、本当にそう思います。ネットをみていたら、根拠は不明ですが、「人生80年として、何らかの接点を持つ人が30,000人。 同じ学校や職場、近所の人が3,000人。親しく会話を持つ人が300人。友人と呼べる人が30人。親友と呼べる人が3人」という記事がありました。もちろん、人によってこれよりも多かったり少なかったりするわけでしょうが、いずれにせよ、今現在の地球の人口が73億人といわれる中にあって、生涯で出会える人は非常に限られているわけで、出会いの確率は天文学的に低いわけです。

「人生は出会いが全て」ともいいますが、日本語には「袖振り合うも多生の縁」や「一期一会」という言葉もあります。いい人との出会いに恵まれれば人生は豊かになるでしょうし、悪い出会いで人生を狂わせてしまうこともあるでしょう。いい出会いも悪い出会いも、自分の人生における出会いの意味を謙虚に受け止めながら、充実した人生を送りたいものです。

(* こちらの話は、9月から新たにスタートしたネットメディアmineにフルバージョンを寄稿しています。よろしかったらご覧ください)

2016年8月24日水曜日

マイナースポーツ振興とクラウドファンディング

リオ五輪が閉幕しましたが、BMX(Bicycle Motocross)という五輪競技をご存じでしょうか?20インチ径の自転車を使ったスポーツで、タイムを競う「レース」とパフォーマンスを競う「フリースタイル」に分かれますが、レースは2008年の北京五輪から正式種目として採用されています。

この競技との出会いは、二年ほど前、当社の「COUNTDOWN」というクラウドファンディングのサービスに池上悠斗・泰地という兄弟選手がエントリーしてきたことが縁になっています。弟の泰地君は、世界選手権や日本選手権のジュニア部門で常に上位の成績を残す将来有望な選手で、東京五輪出場を目指しています。

クラウドファンディングは、日本ではまだなじみが薄く調達できる金額も限られますが、インターネットを使って広く薄く資金調達する新しい仕組みです。米国などでは一つの資金調達手段として市民権を確立し存在感を高めています。これを日本で定着させることは、チャレンジする人、すなわち「出る杭」を応援する土壌を作っていく上で意義のあることだと考えています。

欧米では人気のBMXですが、日本では競技人口が少なく、競技用コースも限られたマイナースポーツです。その為、世界に通用する選手を育成する環境が整っておらず、海外での合宿や遠征等を積んで外国人選手と日常的に競い合わない限りトップクラスの選手にはなれません。度重なる海外遠征費や活動費の捻出に苦労していた二人が行きついたのがクラウドファンディングだったというわけです。

幸い、この時の資金調達の試みは見事に成功して目標を上回る130万円以上を集め、二人はオランダや中国などへの海外遠征費や活動費を補填することが出来ました。常に資金難に苦しむマイナースポーツですが、オリンピックのメダリストなど世界に通用するトップアスリートが生まれれば注目を集め、経済効果も見込めるでしょう。

クラウドファンディングのような手段を通じて、不特定多数の一般大衆の支援がマイナースポーツの世界で五輪のメダリストを生み出すようなきっかけになれば素晴らしいことだと思います。

 を表示しています

2016年7月25日月曜日

ポケモンGOへの期待

7月22日に日本でも配信がスタートした「ポケモンGO」は、またたく間に、新たな社会現象ともいえる熱狂的なブームを世界中に巻き起こしました。任天堂の株価は一時高騰し、新たな集客手段としての活用など、ポケモンGOがもたらす経済効果への期待も高まって「ポケモノミクス」という言葉も使われました。過度な没入による事故・事件の話なども含め、ちまたはポケモンGOを巡る盛り沢山な話題で溢れ返りました。スタート直後はツイッターやフェイスブックのタイムラインもポケモンGO関連の投稿で埋め尽くされ、それらを見ていると、普段、スマホのゲームとは無縁の年配者も目立ちました。

ポケモンGOの開発を行った米ナイアンティックは、2010年にグーグルの社内ベンチャーとしてスタートし、2015年に独立したベンチャー企業です。スマホのGPS機能とグーグルマップをベースに、「この世界には世界制覇を競う2つの勢力がある」という設定で、地図上の仮想の拠点を実際に訪ねながら、緑組と青組に分かれて奪い合う陣取りゲーム「イングレス」を開発しました。ポケモンGOの前身ともいえるもので、3年間に世界中で1400万以上ダウンロードされ、現在もユーザー数を増やし続けています。先日は東京お台場で1万人以上のプレイヤーを集めた盛大なイベントも開催されました。

グーグルアースやグーグルマップ、ストリートビューなどでは、コンピュータの前に座ったまま世界中どこにでも行けるバーチャル体験が可能になりました。一方、ナイアンティックは、”Adventures on foot(自分の足で冒険しよう)”が理念で、スマホを片手に自ら外に出掛けてリアルな世界を体感するアプリケーションにこだわっています。

イングレスに加え、ポケモンGOの登場で、人類は拡張現実(AR)が作り出す世界に新たな一歩を踏み出しました。家から出ることがなかった人達が、外に出て歩き、移動し、会話し、実際の世界を見る、ということはそれだけでも素晴らしいことです。歩きスマホやながらスマホで事故の加害者になったり被害者にならないよう、安全確保には十分に注意する必要がありますが、ナイアンティックがポケモンやユーザーと共に切り開く未来に期待したいものです。

2016年6月23日木曜日

「ものは捉えよう」の地域振興

先週は、三重県津市、大阪市、宮城県加美郡加美町、新潟県新潟市と、国内での移動が多い週でした。

いつも思いますが、日本のこのコンパクトな国土は大きなアドバンテージだと思います。子供の頃や若い頃には、米国、中国、ロシアなどの大国に比べて国土が狭いことをある種のコンプレックスに感じていた時期がありました。しかし、よく考えたら、国内に時差が存在したり、国内移動に日数が掛かる「大きな国」よりも、同じタイムゾーンの中で、無理すれば日帰りで行き来できる距離圏に全国土が存在しているのは実に合理的だと思います。その中に、さまざまな地域の多様性がびっしりと高密度で詰まっています。

地域振興のためにはいくつかポイントがあると思いますが、その一つは、国が相変わらずの均一なばらまき行政を止めることです。地域ごとにメリハリをつけた国土活用や人口集中のグランドデザインを作ることが大事でしょう。

もう一つは、各地域も、国からの援助に頼ることなく、自立することです。自立のためには自分達の地域の位置付けを無理矢理こじつけることも効果があるように思います。たとえば、北海道なら、「日本のシリコンバレー」。明治以降、本土から開拓民が移り住んだ新天地としては共通点があり、テクノロジーの拠点ではなくても、高品質な農産品や畜産品、またはそれらを原材料とした独特のスイーツ等を商品化するエネルギーがあります。

あるいは、沖縄県なら、南半球の時代を唱えるラム・チャラン曰くの「北緯31度よりも南に全域が位置する唯一の日本の自治体」。アジア・太平洋地域の拠点としての意味合いが将来的にはますます大きくなることでしょう。

要は、ものは捉えようなのです。

2016年5月25日水曜日

前途多難な2020東京オリンピック

東京オリンピックを巡る不透明な金銭授受問題が持ち上がりました。FIFA(国際サッカー連盟)の腐敗が取沙汰されたばかりですが、IOC(国際オリンピック委員会)にも似たような構図があるということですね。

スポーツはさまざまなビッグ・ビジネスを生み出しています。しかし、「金儲け」の側面が行き過ぎると、そもそもスポーツをビジネスとして成り立たせている根幹が揺らぎます。最近も野球賭博や八百長相撲が問題になりましたが、この手の話は古今東西枚挙にいとまがありません。スポーツには本来、公正性が担保されるが故に生み出される「真剣勝負の魅力」がありますが、その裏には利権の構図が存在し、不透明なカネや汚れたカネの流れが発生し易いともいえます。

2020年のオリンピック東京招致獲得には壮大なドラマがありました。ジャック・ロゲIOC会長(当時)が「Tokyo」と発表した瞬間の感動を忘れられない日本人も多いでしょう。しかしその後、国立競技場問題、エンブレム問題と盛り上がりに水を差す事件が相次ぎ、あげくには今回の金銭授受疑惑です。肝心の東京都では舛添知事がやはり金銭問題で醜態を晒し続けていてシャレにもなりません。

招致確定時には、多くの国民が、東日本大震災で傷ついた我が国にとって反転のきっかけにもなる明るい話題として受け止めました。しかし今やアベノミクスの効果にも疑問符が付き、世相も変わりました。この機会に、東京でオリンピックを開催することの意味を我々もあらためて自問自答した方が良さそうです。

2016年4月27日水曜日

日本が生んだグローバルリーダー

新刊 『ソニー 盛田昭夫"時代の才能"を本気にさせたリーダー』がダイヤモンド社から発売されました。DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビューでの森健二氏の連載が書籍化されたもののようです。

また、最近、古い本ですが、盛田さんが現在のソニー生命を立ち上げた時のストーリーをまとめた『ソニー生命 伸びる経営の研究』(渡部靖樹著、出版文化社)という本を読む機会がありました。金融業への進出は盛田さんの夢でもありましたが、ソニー生命も生保の世界に革新をもたらしました。

しかしながら、最近、若い人達にはこの名前を知らない人が増えました。先日、某国立大学で特別講義をやった際にも、大学3年生、4年生の学生達は、誰もソニーの創業者である井深大や盛田昭夫の名前を知りませんでした。スティーブ・ジョブズも憧れた日本人起業家がいたことを、もはや日本の若い世代が知らないのです。

時代を創るのは常にイノベーションであり、イノベーションは果敢にリスクをとってチャレンジすることからしか生まれません。あらためて日本が生んだ偉大な起業家達からの教えを大切にしたいと思います。

2016年3月25日金曜日

日本を良くするとは?

二月に引き続き、今月も沖縄を訪れました。沖縄科学技術大学院大学で開催された産学連携をテーマにした国際シンポジウムに招かれたのですが、ちょうど直前にブセナ・テラスで「G1サミット」が開催されたので、こちらにも四年ぶりに参加しました。

G1サミットは、さまざまな経済活動や政治活動がある中で異色の存在です。(株)グロービスを創業した堀義人氏が中心となって二〇〇九年に始まった「日本を良くする」ことを標榜したフォーラムで、現在は「一般社団法人G1サミット」として活動しています。

G1の活動は多岐に渡りますが、毎年二月か三月に、二泊三日の合宿形式で年に一度の「本会議」が日本各地で開催されます。大臣、代議士、官僚、自治体首長、大企業経営者、ベンチャー経営者、投資家、メディア、学者、研究者、学生、芸能人、アスリートなど、分野や年齢を問わず多彩な人達が集まり、日本が抱えるさまざまな課題について垣根を超えた自由な議論が展開されます。敢えて例えるなら、いわゆるダボス会議と呼ばれる「世界経済フォーラム年次総会」のミニチュア版、日本版といったところですが、各界のリーダーや有識者達が一堂に会して議論する場というのはありそうでなかなかない機会だと思います。

G1では、これまでの活動の集大成として、先日「日本を動かす『100の行動』」という本を出版しています。テーマは政策論から技術論まで盛りだくさんですが、「日本を良くする」ことや、「これからの世界における日本の役割」に興味のある人にとっては、頭を整理する上でも参考になると思います。